ミュージシャンやDTM(デスクトップミュージックの略)ユーザー、またはYouTube配信などをはじめる人のほとんどが、1度は「自分の部屋を防音室にしてみたい」と考えたことがあると思います。
ラジオ局のスタジオももちろん防音になっていますが、いったいどのくらい防音なのでしょうか。
神戸のラジオ局、ラジオ関西のスタジオでは、設計仕様に「NC-30」という設定があります。この「NC」は室内の騒音の大きさを表す値のことです。NC(Noise Criteria)値は、1957年にアメリカの音響学者、Leo L. Beranek 氏によって「Noise Control」誌で提案された、室内の静けさを表す指標です。このNC値が低いほど防音になっていることになります。
オフィスなどで我慢できる値とされているのは「NC-40」(2~4メートル離れて普通の会話ができる程度)です。「NC-30」は劇場、教会、テレビスタジオなど。レコーディングスタジオやコンサートホールなどはさらに厳しく、「NC-15」以下などで設計されています。
もちろんラジオ局によってスタジオのNC値は違います。ラジオ関西は通称「海の見えるスタジオ」と言われていますが、海の波音が聴こえるような、あまりシビアすぎない防音設定になっているのかもしれません。
カラオケボックスやライブ会場では、会場の外に「ドンドン」という低音の音が漏れ聞こえていることがあります。音の中では、低い音ほど、壁を通過しやすくなっています。防音対策をする場合、低い音は壁を厚くしたり、ガラスを重ねたり、床を浮かしたりして対策します。
ラジオ関西のスタジオでは、壁の厚みは30~50センチになっており、吸音材が入っています。ガラスは中に防音フィルムが挟み込まれ、厚みの違うものを組み合わせた特殊なペアガラスなどを使用しています。遮熱効果を期待したペアガラスではあまり防音にならないようです。
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ラジオ関西『おしえて!サウンドエンジニア』2021年4月18日放送回音声