神戸人形の魅力とは 「創始期の作者たち」 リモート・ミュージアム・トーク(中) | ラジトピ ラジオ関西トピックス

神戸人形の魅力とは 「創始期の作者たち」 リモート・ミュージアム・トーク(中)

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八尾製の神戸人形「団子喰い」「西瓜喰い」「箸もち」「西瓜喰い」
八尾製の「神戸人形」(「団子喰い」「西瓜喰い」「箸もち」「西瓜喰い」)

「神戸人形」の創始期に活躍した人物として、もうひとり分かっているのが、出崎房松(1883-1967)です。出崎は、和歌山県有田市に生まれ、明治30年代頃、神戸の花隈に移り住みます。手先が器用で、木の根っこから動物などを作っていましたが、湊川神社周辺で興業のあった“浪花からくり”をヒントに、「糸巻き」を利用したからくり人形を作り始めます。明治35(1902)年ごろのことです。

 出崎作品の仕掛けをみると、つまみに続く中心軸に対して直角に半月形の木片が取り付けられ、その木片の両端に人形の首やあご、手や足に結んだ糸が集まっています。つまみを動かすことで、半月形の木片が前後に動き、そこに結ばれた糸がひっぱられたり緩んだりして、台箱にのった人形が動きます。この仕掛けは出崎作品だけでなく、多くの「神戸人形」にみられるものです。

出崎房松の神戸人形(お化け人形)「夕涼みのお化け」
出崎房松の「神戸人形」(お化け人形)「夕涼みのお化け」

 明治・大正時代の「神戸人形」(=お化け人形)には、野口や八尾とも、また出崎とも異なる作風がいくつかあり、未だ名前の知られていない幻の作家たちもいたことでしょう。神戸の市井に生きた人たちは、なぜ、このような小さなからくり人形作りに心を傾けたのでしょうか。たかが130年、されど130年――「神戸人形」の歴史を追いかける私たちにとって解けそうで解けない謎が多くあり、この謎めきがまた「神戸人形」の魅力なのかもしれません。

 幾人もの作者たちが競い合うようにユニークで工芸的な作品を生み出していた明治・大正時代を経て、やがて「神戸人形」は、商品としての様式を整えていきます。次回は、昭和初期に活躍した小田太四郎についてご紹介します。(日本玩具博物館学芸員・尾崎織女)

■日本玩具博物館
〒679-2143 兵庫県姫路市香寺町中仁671-3
電話 079-232-4388
FAX 079-232-7174

入館料 大人600円、高大生400円、小人(4歳以上)200円
休館日 毎週水曜日(祝日は開館)、年末年始(12月28日~1月3日)
開館時間 10:00~17:00
アクセス JR「姫路」駅から播但線に乗り継ぎ「香呂」駅下車、東へ徒歩約15分 / 中国自動車道路「福崎」インターチェンジから南へ15分、播但連絡道路「船津」ランプより西へ5分

※緊急事態宣言を受けて、日本玩具博物館は5月11日まで臨時休館することが決まったと発表した。同館は「状況によりましては休館を延長させていただく場合もございます。ホームページでご案内させていただきますので、来館の際はご確認ください」と述べている。


【公式HP】
【春夏のテーマ展「神戸人形賛歌~ミナトマチ神戸が育てたからくり人形~」(公式HPより)】

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