最大震度7の揺れを2016年4月14日夜と16日未明に2回観測した熊本地震。その「本震」から5年を迎えた。
あのとき、被災者の一時避難所として、また復旧活動に向かう自衛隊や警察、工事車両の中継基地として大きな役割を果たしたのが、被災地の「道の駅」だ。いま、国も「道の駅」を防災拠点として位置付ける取り組みに力を入れている。4月22日の「道の駅の日」(一般社団法人全国道の駅連絡会制定)を前に、道の駅「阿蘇」(熊本県阿蘇市)の下城卓也駅長に、大規模災害時に道の駅が果たす役割と課題を聞いた。今回はその【前編】。
観光客やドライバーの憩いの場である「道の駅」が防災拠点として注目を集めたのは、新潟県中越地震(2004)や東日本大震災(2011)でのこと。幹線道路沿いに広い駐車場を持つことから避難場所として車中避難者を受け入れたほか、支援物資や復旧支援車両、ボランティアの基地にもなった。
道の駅「阿蘇」は2008年にJR阿蘇駅(豊肥本線)前にオープン。阿蘇山の北側に位置し、雄大な阿蘇五岳を望む。地元阿蘇にこだわった野菜や果物、乳製品など特産品を販売しているほか、阿蘇でサイクリングやトレッキングを楽しむ人たちの拠点としてにぎわっている。
熊本地震では熊本県内の道の駅28駅中6駅が大きな被害を受けた。道の駅「阿蘇」は前震では被害がなかったが、本震の揺れで被害を受けた。
「前震で大きな被害を受けた益城町への支援を準備していたところに本震がきた。釣り看板は落下、棚は倒れ商品は床に散乱、もうめちゃくちゃだった」(下城氏)。