「亡き息子からのごほうび」心で2人3脚、父は命の尊さ訴え「ひょうご地域安全まちづくり活動賞」受賞・堤 敏さん

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 神戸市北区で2010年10月、高校2年の堤将太さん(当時16歳)が刺殺された事件は未解決のまま10年が過ぎた。

神戸市北区・男子高校生殺害事件(2010年10月4日発生)は発生から10年が経過した
神戸市北区・男子高校生殺害事件(2010年10月4日発生)は発生から10年が経過した

 「息子・将太からのご褒美なのかな」将太さんの父・敏(さとし)さん(62)はこの事件から各地で「命の大切さ」を伝える講演を続けている。犯罪被害者遺族の置かれている状況や、犯罪のない、被害者を出さない街づくりについて強く訴えかけている。こうした活動が高く評価され、敏さんは2021年、兵庫県の「ひょうご地域安全まちづくり活動賞」を受賞し、兵庫県公館(神戸市中央区)での授賞式に臨んだ。

兵庫県警察学校での講演(2016年6月15日 兵庫県芦屋市)
兵庫県警察学校での講演(2016年6月15日 兵庫県芦屋市)

 この賞は、地域住民の自主防犯組織である「まちづくり防犯グループ」をはじめ、防犯協会・各種団体・事業者などで防犯パトロール、子どもの見守り活動などの地域安全のためのまちづくり(犯罪の防止その他安全で快適な暮らしを実現するための活動)に貢献した人に贈られる。兵庫県が2006年に創設した。自らの体験を語り継ぐ犯罪被害者の活動は多くの共感を呼び、2015年には高松由美子さん(兵庫県稲美町在住・1997年8月、少年らによる集団暴行を受け亡くなった当時高校1年の長男の母親)も 「命の尊さを伝える授業」の講師として、全国各地で害者支援の活動に取り組み、受賞している。敏さんがラジオ関西の取材に「これからの被害者支援」の重要性を語った。

堤 敏さん「ひょうご安心安全まちづくり活動賞」2020(令和2)年度は個人7人、団体10団体に贈られた(2021年2月・兵庫県公館)
堤 敏さん「ひょうご安心安全まちづくり活動賞」2020(令和2)年度は個人7人、団体10団体に贈られた(2021年2月・兵庫県公館)

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 事件が起きてなかったら、こうした(地域の安全・安心、防犯)認識や意識はなかったと思います。あちこちで講演していたのは、はじめは息子のために、息子が犠牲になった事件を知ってほしいという気持ちだけでしたが、事件から10年が過ぎて、本当に安全・安心な社会を作るために考えるようになりました。今回の受賞は、将太からのご褒美かも知れませんね。

 この活動はまだまだ続けたいのです、事件も未解決だし、道半ば。私を含めて犯罪によって命を奪われた方々の気持ち、犯罪はいかに多くの人たちに大きな影響を与えるのか、被害に遭うとはこういうこと、命の重要さをもっともっと発信してゆきたい。これが正解、というのはないのです。「これでいいのかな、伝わっているのかな」と迷いながらも講演を続けています。

兵庫県公館(神戸市中央区)
兵庫県公館(神戸市中央区)
「ひょうご安心安全まちづくり活動賞」授賞式にて(2021年2月・兵庫県公館)
「ひょうご安心安全まちづくり活動賞」授賞式にて(2021年2月・兵庫県公館)
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