鉄鋼大手・神戸製鋼所(本店・神戸本社 神戸市中央区)が11日発表した2021年3月期連結決算は、純損益が232億円の黒字(前期は680億円の赤字)となり、2年ぶりに黒字転換した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響による鋼材需要の低迷で鉄鋼事業は赤字だったが、堅調な建設機械や電力事業が補った。売上高は前期比8.8%減の1兆7055億円。
次期・2022年3月期決算は、製造業の回復、世界的なコロナ対策の広がりなどを受け、増収増益を見込んでいる。
建機は中国のインフラ投資拡大が追い風となった。電力は火力発電所の真岡発電所(栃木県真岡市)がフル稼働し、冬場の電力需給のひっ迫に伴う送電量の増加も寄与した。鉄鋼は上半期を中心とした自動車向けの落ち込みが響いた。
神鋼はこの日、中期経営計画も公表。2050年に温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指すと表明。2030年には生産工程で排出する二酸化炭素(CO2)を2013年度比で30~40%削減する目標も掲げた。また、神戸市灘区の石炭火力発電所2基で、「バイオマス燃料」を導入する。