尼崎市発注の給水栓工事をめぐり、入札情報を業者に漏らし、見返りを受け取ったとして兵庫県警は13日、市水道建設課に所属する職員の男（26）を収賄容疑で逮捕した。
職員の男は2020年12月に入札があった市内の小中学校や公共施設計11か所の応急給水栓工事の一般競争入札で、工事の設計金額 （予定価格） を漏らした見返りに、市内の業者から、高級ブランド「ルイ・ヴィトン」の財布「ジッピー・ウォレット」2個（時価合計26万4000円相当）を受け取った疑い。兵庫県警によると、入札は6社が参加し、工事の設計価格（予定価格）は総額6321万6000円で、入札の際に金額を下回ると失格となる最低制限価格は5614万8000円。この業者は5636万6000円で入札、最低制限価格を21万8000円上回った金額で落札した。
水道建設課は尼崎市で水道局とボートレース事業を行なっていた公営事業局が2018年に合併してできた公営企業局の傘下にある。 職員の男は水道建設課で、給水栓設置の設計などを担当。設計価格（予定価格）など入札に関わる金額を知り得る立場にあったという。
兵庫県警は贈賄容疑で尼崎市内の建設業者社長の男（51）と経理・契約担当の女（46）も逮捕。兵庫県警は逮捕した3人の認否を明らかにしていない。今後現金の受け渡しや不適切な接待の有無を調べる。この会社は近年、給水栓や配水管の設置工事など市発注の公共工事を複数受注していたという。
応急給水栓は、地震などの災害により水道施設が被害を受けた場合、安全で良質な水を迅速に供給できるよう、消火栓などから仮設給水するための設備。
兵庫県警は14日、尼崎市役所・本庁や公営企業局を捜索する。
