83歳、アンソニー・ホプキンスが鬼気迫る名演 映画『ファーザー』 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

83歳、アンソニー・ホプキンスが鬼気迫る名演 映画『ファーザー』

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© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020

 過去と現在、事実と幻想、その境界線がどんどん曖昧になっていき、ここはどこ? 私は誰? 状態になるなかで、今いるのが自分のフラットなのか、アンの家なのかさえ分からなくなる不安。しかも、あの優しい娘ルーシーは一体どこに行ってしまったのか? サスペンスフルに展開する物語に、観客の我々もアンソニーの不安と戸惑いを体験しながら振り回される。

 もともと、フランス人の作家フロリアン・ゼレールの、フランス最高位のモリエール賞最優秀作品賞に輝く舞台劇で、2012年にパリで初演され、ロンドンのウエストエンド、ニューヨークのブロードウェイなど世界30か国以上で上演され沢山の賞に輝き、日本でも橋爪功と若村麻由美で上演された作品。

 映画化に当たっては、フロリアン・ゼレール自身が監督に初挑戦、クリストファー・ハンプトンとともに脚本も書いていて、今年のアカデミー賞で、脚色賞を受賞している。

 主演のアンソニー・ホプキンスにあわせて、物語の舞台をパリからロンドンに変え、キャスト6人全員がイギリス出身。アンソニー・ホプキンスは、1991年の「羊たちの沈黙」以来30年ぶり2度目のアカデミー賞の主演男優賞を受賞。アン役のオリヴィア・コールマンも助演女優賞にノミネートされていたが、残念ながら受賞には至らなかった。

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 亡くなったチャドウィック・ボーズマンが受賞するのではないかという大方の予想を裏切っての、アンソニー・ホプキンスの主演男優賞受賞で、賞の発表の順番を変えてまで授賞式を盛り上げようとした演出が空振りに終わり、おまけにロンドンに滞在中で、もし受賞すれば映像でなら……というホプキンス側のオファーを断っていたという話も漏れ伝わって来て、なんだか後味の悪い授賞式になってしまったアカデミー賞。だが、もちろん、アンソニー・ホプキンスの名演は素晴らしく、現在83歳にしてますます矍鑠(かくしゃく)としていて、あんなにたくさんのせりふを覚えられるなんて、認知症とは程遠い彼の認知症ぶりは、鬼気迫る凄さで、圧倒されるのだ。(増井孝子)

※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!』、「おたかのシネマdeトーク」より

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◆映画『ファーザー』


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