2021年5月26日の夜、皆既月食が起こる。この日の月は、今年2021年で地球に最も近い満月で「スーパームーン月食」とも言われる。天気に恵まれれば日本全国で観測できそうだが、その見え方は地域によって異なる。
月食が始まるのは月の出の頃なので、関東から東北の太平洋岸では月食のすべての経過が見られるが、その他の地域では部分月食が始まった後で月が昇ってくる「月出退食(げつしゅつたいしょく)」となる。
月は午後6時45分から欠け始め、午後8時9分に皆既食となる。月が全く見えなくなるわけではなく、「赤銅色(しゃくどういろ)」と呼ばれる赤黒い色に見える。この色も大気中のチリが少なければオレンジっぽく、チリが多い場合は黒っぽくなる。皆既食は午後8時28分に終わり、その後かけた部分が少なくなっていき午後9時53分に部分食が終わり、丸い月に戻る。
この日の神戸は、月の出が午後6時54分なので、「欠けた状態」で昇ってくる。東南の空の低い所が望める場所での観察がおすすめだ。
肉眼でも十分だが、国立天文台によると双眼鏡や望遠鏡があると、地球の影が月面のクレーターや海を横切っていく様子や、皆既食中の月面の色や明るさの変化などをより鮮明に観察できるという。
ところで、月が地球を回る公転軌道は楕円であるため、地球と月の距離で見かけの大きさは違ってくる。地球に近いタイミングで満月になることをスーパームーンという。今回の月食はスーパームーンのときに皆既月食になることから「スーパームーン皆既月食」とよばれることもある。
「スーパームーン」の月は、どのくらい大きいのか。明石市立天文科学館の井上毅館長によると、「直径にして14パーセントくらい大きい。普段から月を見る機会の多い人は『大きい』と感じるはず」。
そして月だけではなく、まわりの星空にも注目したい。空の暗い所なら、皆既食が始まる頃、それまでは月明かりがあるため見えていなかった暗い星が見えてくる。双眼鏡を使うとその様子がさらにはっきりとわかるかも。
皆既食中の赤銅色の月の近くには、赤い星・さそり座の1等星アンタレスがある。双眼鏡があればよりはっきり捉えることができ、また皆既食中の月がさそり座の6.6等星を隠す様子も見ることができる。なお、国立天文台や明石市立天文科学館では、皆既月食の模様をライブ配信する予定。
明石市立天文科学館 ホームページ
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