兵庫県尼崎市で2020年11月、特定抗争指定暴力団・神戸山口組傘下組織の組長と幹部が拳銃で撃たれた事件で、殺人未遂と銃刀法違反で起訴された、対立する特定抗争指定暴力団・六代目山口組直系組織の幹部(52) と組員(54)について、神戸地検が裁判員裁判の対象から除外するよう、神戸地裁に請求したことが2日、わかった。神戸地検は2015年に分裂した「2つの山口組」の対立抗争状態が現在も続いているとみて、裁判員に危害が及ぶ恐れがあると判断したとみられる。
裁判員法では、裁判員の生命、身体、財産などに危害が加えられる恐れがある場合、裁判員裁判の対象から除外すると規定。これまでに除外されたケースの多くは暴力団関係の事件だった。この事件をめぐる刑事裁判では検察側、弁護側(場合によっては被告自身も)、裁判所の3者協議「公判前整理手続き」を今後進めるが、訴訟指揮については担当の部総括判事(いわゆる「裁判長」)に一任されている。
神戸地検は2019年に神戸市、尼崎市で起きた一連の抗争事件4件(うち1件は被告が死亡し、控訴棄却)について「事件に組織性があり、関係者が裁判員に報復行為に及ぶ危険性がある」として、神戸地裁に裁判員裁判からの除外を請求、このうち2件は裁判員裁判として審理されていない。