2020年、無名のシンガーソングライター、瑛人が『香水』という楽曲で突然ヒットチャートを席巻したことは記憶に新しい。ブレイクのきっかけは、動画アプリ「TikTok」。一般の投稿者やプロのアーティストによる『香水』のカバー動画により一気に火がつき、大みそかの『第71回NHK紅白歌合戦』で披露されるほどのヒットソングとなった。
今や、TikTokは、若者の流行曲の発信源といえる。Apple MusicやSpotifyなど、音声配信サービスのランキングを見ると、上位にはTikTokでバズった(爆発的に拡散され注目を集めた)楽曲が並ぶ。TikTokで楽曲の一部を使用した動画がバズる→YouTubeのMVや音声配信サービスで再生される→メディアが取り上げ、世間に広く浸透する→ブレイク……という流れは、多くのアーティストが狙う黄金ルートとなっている。
ところで、TikTokでバズる楽曲は、最新の楽曲ばかりなのだろうか。TikTok利用者の大半がおそらくまだ生まれていないであろう「昭和」にリリースされた楽曲でも、流行する可能性はあるのだろうか。その謎を解き明かすため、一週間(※)にわたって、TikTokの人気投稿をチェック。昭和の楽曲が拡散されていないか検証した。
(※2021年6月1日~2021年6月8日)
◆令和の曲だけじゃない!5年以上前の曲を発見
やはりTikTokで若者たちが踊ったり歌ったりしている楽曲は、大半が最新のものだ。ほとんどが少なくともここ1~2年の間に発売されている。しかし、なかには令和の曲以外のものもあった。
一つは、椎名林檎が2015(平成27)年にリリースした『長く短い祭』。東京事変の浮雲とのデュエット曲で、「女盛りを如何しよう(どうしよう)」という歌詞が印象的だ。TikTokでは、女性の投稿者による「一夜を共にした男女」の会話という設定で公開されている動画のBGMとして使用されている。女性の寝起きと昨夜の華やかな姿の違いを自ら対照的に表現した内容となっていて、ユニークだ。
次は、氣志團が2014年にリリースした『喧嘩上等』。裏稼業の世界で奔走する女性を描いた、尾野真千子主演ドラマ『極悪がんぼ』の主題歌だが、TikTokでは、この曲をBGMに、女子高生たちが、暴走族風に学校の廊下などを歩き、ポーズを決める動画が多数投稿されている。暴走族を題材にしたアニメ『東京リベンジャーズ』をきっかけとして流行っているというが、これもまた面白い映像となっている。
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♬ ラムのラブソング - Yuko Matsutani