兵庫県姫路市で2001年に起きた郵便局強盗事件で懲役6年の実刑が確定、服役した40代のナイジェリア人男性が申し立てた再審請求の差し戻し即時抗告審で、大阪高裁は30日、請求を棄却した。
再審請求では男性の弁護側が「目出し帽のDNA型が男性と一致せず、真犯人が別にいる」と主張していた。そして捜査機関は毛髪や指紋が男性と一致しない鑑定結果を隠ぺいし、郵便局の防犯カメラ映像に数秒間の砂嵐のような乱れがあったとして証拠を改ざんしたなどと訴えていた。
しかし大阪高裁は、乱れは機器の設定で生じたと認定し「捜査機関が故意に乱れを起こしたとの主張は採用できない」とした。さらに現場に残された目出し帽の毛髪から男性のDNA型が検出されなかった点については「(目出し帽を)着用すれば必ず検出されるとは限らない」とした。
男性は2001年6月に姫路市の花田郵便局から現金約2300万円を奪ったとする強盗容疑で逮捕、その後起訴され2006年に実刑が確定し、服役後の2012年に再審請求した。神戸地裁姫路支部は2014年にこの請求を退けたが、大阪高裁は2016年に審理を差し戻し、神戸地裁が2020年6月に請求を退ける決定をしたのを受け、男性が不服として即時抗告していた。
男性の代理人弁護士は、「冤(えん)罪であることは確実だと思っているが、主張が認められず極めて残念だ」と述べ、最高裁に特別抗告するという。