他人事ではない「土石流」、近畿にも忍び寄る危険 ”盛り土”の影響は? 地質学研究・西影裕一さんに聞く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

他人事ではない「土石流」、近畿にも忍び寄る危険 ”盛り土”の影響は? 地質学研究・西影裕一さんに聞く

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 静岡県熱海市の伊豆山(いずさん)地区を襲った土石流。静岡市は、5日午前7時時点で113人の安否がわかっていないと公表した。5日正午現在で33人の無事が確認され、所在不明は80人となっている。

 また、土石流の発生源の山中には、約5.4万立方メートルの造成用の「盛り土」があったことが静岡県の調査で判明、この影響で被害が甚大化したという見方もある。政府が近く、発生源での盛り土の影響を検証する。

 現地は斜面が急で地盤がもろく、土砂災害のリスクが高い土地だ。直前の短期間に大量の雨が降ったわけではなく、比較的多い量の雨が長い期間、降り続いたことが災害の引き金となったとみられる。強い雨によって山腹や川底の石、土砂が一気に押し流される土石流は、一般的に傾斜が15度以上と急な河川で起こりやすいという。谷を流れる川が平地に出る場所では、こうした土砂が広がって扇状地と呼ばれる地形ができ、流れは時速20~40キロと速くなるという。

兵庫県宍粟市波賀町で起きた「土石流」<2018年7月20日撮影・写真提供 西影裕一さん>
兵庫県宍粟市波賀町で起きた「土石流」<2018年7月20日撮影・写真提供 西影裕一さん>

 地質や地震の研究を続ける日本地震学会会員の西影裕一さん(兵庫県姫路市在住)は、51人が犠牲になった岡山県倉敷市の真備町(まびちょう)など被害が広範囲にわたった2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)によって、隣接する兵庫県西部でも土石流が起きたことを思い出してほしいと警鐘を鳴らす。また、今回の熱海を襲った土石流被害から何を教訓にすべきか聞いた。

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 土石流が起こる一番の原因は大量の雨水によるものであるが、地盤が水を含んで柔らかくなり、自然に崩れることが多い。しかし、見落とされがちなのが、熱海でもそうだが開発等による人為的なことが原因になることがある。西日本豪雨では宍粟市一宮町、波賀町でも土石流・崖崩れ・地すべりが起こった。写真にあるように一宮町の土石流は数100m以上の長さがあり、近づくのは大変危険であった。幸いにも山奥で人災はなかった。

兵庫県宍粟市一宮町で起きた「土石流」<2018年7月20日撮影・写真提供 西影裕一さん>

 時をほぼ同じくして、兵庫県姫路市でも崖崩れが起きた。見た感じでは急傾斜地で谷間を崩れていたので自然災害と思われた。しかし、その後の兵庫県土木事務所の調査でこの谷を地権者が触っていたことが判明し、人災であると判断された。自然災害だと県土木事務所が災害復旧工事をしてくれるが、人為的行為となると工事は自己負担となる。

姫路市での被害状況〈2018年7月11日撮影 ※写真提供・西影裕一さん〉
姫路市での被害状況〈2018年7月11日撮影 ※写真提供・西影裕一さん〉
姫路市の被害状況 2年経過もこのような状態だった<2020年8月10日撮影※写真提供・西影裕一さん>
姫路市の被害状況 2年経過もこのような状態だった<2020年8月10日撮影※写真提供・西影裕一さん>
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