数分ゆでるだけでつるっと食べられる手軽さからも、夏の定番メニューになっている、素麺(そうめん)。日本全国に産地はあるが、兵庫の播州素麺、奈良の三輪素麺とともに、日本三大素麺の一つとしても有名なのが、香川の小豆島素麺だ。400年の歴史があり、冬の農業閑散期に家族の労力で作られたことから、小豆島に広がっていったと言われている。
そんな小豆島にある岡上食品では、昔ながらの製法で作り上げたこだわりの素麺がある。同社代表の岡上博さんに、その「自然派Style小豆島手延べ素麺」の魅力について詳しく話を聞いた。
岡上さんによると、手延べ素麺は、流通の多い機械製麺の素麺に比べて強いコシを楽しめるのが特徴だという。機械製麺は、薄く伸ばした生地を細く切って麺の形にする。それに対して手延べ製麺は、1つの生地を、ヨリをかけながら一定方向に伸ばして製麺する。綱状のものを少しずつ細くしていくという作業によって、グルテン組織がばらつくことなく一定に形成され、歯切れのよいコシが生まれるそうだ。
また、生地の乾燥も重要な工程。手延べ素麺といえば天日干しのイメージがあるが、岡上さんは、「太陽の光や寒風で麺を素早く乾燥させることによって、真っ白できれいな素麺ができます」という。日の当たり方にばらつきがないように干し台を移動させ、麺同士がくっつかないようにする「箸入れ」も欠かせない作業の1つ。
そして、「自然派Style小豆島手延べ素麺」のもう1つの特徴は、国産小麦を使用していること。「国産小麦は輸入小麦に比べて水分の吸収が良くなく、表面がべたつきやすいんです。また、熟成が早いため温度や湿度にも敏感で、作業効率を求められます。私たちがそんな繊細な国産小麦にこだわる理由は、国産小麦は輸入小麦に比べて小麦の香りが高いからなんです」(岡上さん)。
さらに、国内で流通している小麦のほとんどが輸入小麦なので、少しでも食料自給率の向上に貢献したいという思いもある、岡上さん。日本の素麺と伝統を世界に認知してもらうためにも、国産小麦を使っていきたいと話す。
ちなみに、岡上さんによると、氷水でキンキンにしめるよりも、40℃から65℃くらいのほどよい温度で食べた方が小麦の香りを感じやすいとのこと。また、「ゆでる際にお湯の量が少ないと、麺がくっついて固まってしまうので、なるべく大きな鍋でたっぷりお湯を入れてゆでてくださいね」と、ゆで上げのコツも語っていた。