「オレオレ詐欺」から始まる、老女と若者の穏やかな時間 小山薫堂プロデュース作『のさりの島』に心癒された | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「オレオレ詐欺」から始まる、老女と若者の穏やかな時間 小山薫堂プロデュース作『のさりの島』に心癒された

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 放送作家・脚本家として活躍する小山薫堂がプロデューサーを務め、藤原季節、原知佐子、柄本明らが出演する、熊本・天草を舞台にした映画『のさりの島』が全国で順次公開されています。今作の魅力を、映画をこよなく愛するラジオパーソナリティー・増井孝子さんが解説します。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「のさり」というのは天草地方の言葉で「いいこともそうでないことも、自分の今あるすべての境遇は天からの授かりもの。だから否定しないで受け入れる」という意味らしい。だから、良いことが舞い込んでも、悪いことが降りかかっても使われる、天草の人々の優しさと強さの原点みたいな言葉なのだ。

 フェリーを降りてあてもなく商店街の看板を見つめる若い男。やがてそこに書かれた電話番号に電話をかけると、「もしもし、ばあちゃん? 俺だけど……」と話し始めた。「どうしても、すぐにお金が必要なんだ。今から、友達に取りに行かせるから、そいつにお金を渡してほしい……」。

©北白川派

 絵にかいたような典型的な“オレオレ詐欺”の手口だ。

 かつては多くの人でにぎわった中央銀天街も、今やみごとに寂れたシャッター商店街になってしまっている。その商店街の山西楽器店へ、若い男(藤原季節)がやって来たのは、それからすぐだった。

 店の奥から出てきた老女の艶子(原知佐子)は「お帰り、将ちゃん」と、彼を温かく迎え入れる。久しぶりの孫の帰りを、笑顔で喜ぶばあちゃん。

「あれ~??」と思いながらも、お風呂に入り、用意された美味しい料理を食べ、ホッコリくつろぎ、思わず寝てしまった……。

 あまりの居心地の良さに、しばらくはそのまま孫の将太として暮すことにする彼。屋上で洗濯物を干したり、2階の物置の整理を頼まれたり……、不思議に穏やかな時間が過ぎてゆく。


◆『のさりの島』
2021年5月29日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開

出演:
藤原季節 原知佐子
杉原亜実 中田茉奈実 宮本伊織 西野光
小倉綾乃 酒井洋輔 kento fukaya 水上竜士 野呂圭介
外波山文明 吉澤健 柄本明

プロデューサー:小山薫堂 監督・脚本:山本起也
撮影:鈴木一博 照明:守利賢一 録音:吉田憲義 美術:丸山裕司 装飾:嵩村裕司
編集:鈴木歓 スタイリスト:浜井貴子 衣裳:藤林さくら ヘアメイク:近藤美香
VFX:西尾健太郎 タイトル:酒井洋輔 グレーディング:関谷和久
ラインプロデューサー:大日方教史 ロケーションプロデューサー:小山 真一
キャスティング:小林良二 監督補:毛利安孝 制作担当:後藤聡
音楽:谷川賢作 小倉綾乃 藤本一馬
製作/配給:北白川派 製作協力:熊本県天草市 京都芸術大学
宣伝協力:天草ケーブルネットワーク株式会社
協賛:天草信用金庫 ホテルアレグリアガーデンズ天草 後援:JCBA九州コミュニティ放送協議会

(C)北白川派
2020|日本|カラー|DCP|5.1ch|ビスタサイズ|129分 
映倫:122429

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