兵庫県は国への緊急事態宣言の発令要請をいったん見送った。県は12日に開いた新型コロナウイルス対策本部会議で、当面の対応として「まん延防止等重点措置」の対象区域を、現在の15市町から、但馬地域を除く36市町に拡大することなどを決めた。エリアの拡大は16~31日までの16日間。今後、緊急事態宣言の発令に向け国と協議する。近畿では京都府も同様の措置。
12日の近畿での新規感染者は兵庫県が728人、大阪府が1654人、京都府が372人といずれも過去最多で、状況悪化が続いている。
兵庫県は8月2日から、阪神間や播磨地域の一部など15市町を対象にまん延防止に取り組んできたが、直近一週間の人口10万人当たりの新規陽性者数が、12日時点で54.7人と、政府の分科会が示すステージⅣの基準(25人)を大きく超えており、12日には過去最多となる728人の新規感染を発表するなど、感染が急拡大している。また、確保病床使用率もステージⅣの水準(50%)を上回る52.3%で、医療のひっ迫が懸念される。
■斎藤知事、緊急事態宣言と“まん延防止措置”は「内容にほとんど差異がないのが事実」
会議後に会見した斎藤元彦知事は、「但馬地域を除いたのは、直近一週間の人口10万人当たりの新規陽性者数がステージⅢ(15人)を下回っているため。“但馬では感染対策を取らなくていい”というわけではない」などと強調。また、検討する意向を示していた緊急事態宣言の要請をしなかったにことついては、「(“まん延防止措置”と比べて)エリアの違いこそあるが、措置の内容にほとんど差異がないのが事実で、まずは国としっかり協議していくことが大事。県として『こうした方がより効果がある、メッセージが伝わる』という意見があれば、実情を踏まえて国に伝える」と述べた。
■“まん延防止措置”エリア拡大で入院医療体制を強化
県は12日現在、入院病床数を900床程度(うち重症対応110床程度)、宿泊療養施設の室数を1500室程度運用しているが、感染者数が急増する中、入院病床数を1,200床程度(うち重症対応130床程度)に増やし、月内にも宿泊療養施設を1~2施設増やすなど、さらなる体制の強化を急ぐ。斎藤知事は「まずはしっかり足元を固めることを、国とも確認している」と述べた。
■但馬地域以外では酒類の提供は禁止 酒類販売業者への支援を手厚く