神戸市灘区で2009年7月、 ゲリラ豪雨による増水で子どもを含む5人が死亡した都賀川水難事故の教訓を伝える市民団体「7月28日を子どもの命を守る日に実行委員会」が 10月1~10日、 事故現場近くの神戸市立灘区民ホールで催しを開く。
◆「都賀川”祈り”折り鶴プロジェクト」
この催しは、災害や事故によって失われたかけがえのない「命」に思いをはせ、災害をどうすれば防ぐことができるのかを考えるきっかけづくりが目的。都賀川水難事故に限らず、台風による水害や土砂災害が日本各地で起こっている。1年を通じて防災意識を持ってもらうために秋に開催することにした。
プロジェクトでは、パネル「子どもと考える水害」を通して親子で防災を学習する機会を設け、毎年開かれる都賀川水難事故の犠牲者を偲ぶ会や防災学習などで、地域の方々や子どもたちが折った「折り鶴」、子どもたちが描いた「防災塗り絵」も展示する。
実行委員会の谷口美保子さんは「大きな災害や地震があるたびに、ラジオやテレビ、新聞などメディアからのニュースに接するが、どこかで他人事のように感じ、自分が住む地域で災害が起きたら、という危機感や防災意識が薄れていく傾向にあるのではないか」と指摘する。
当時100年に1度ともいわれた大雨だったが、もともと水害が多い地域だったため、都賀川は雨水を海に流す排水溝として活用され、のちに水に親しむ親水公園として整備された歴史がある。こうしたことから都賀川は地元で「雨が降ると急に増水する川」として知られる。兵庫県は都賀川の事故後、大雨洪水注意報・警報が発令されると点灯する回転灯を設けるなどした。
1938年に起きた阪神大水害(神戸や芦屋など阪神地区を中心に死者・行方不明者695人・被害家屋11万9895戸)では神戸市東灘区の住吉川が氾濫して”山津波”が襲った。濁流の高さは3mだった。
谷口さんはまた、「災害は、どこでも起こり得る。自分が住んでいる地域はどのような地形で、過去にどんな災害があったのかを知り、今後どのような災害が起こる可能性があるのか、どのような防災の弱点があるのかを考えていくきっかけが必要。そのためにも、命を考える取り組みを続けたい」と意気込む。