東京・池袋で2019年4月、暴走した乗用車にはねられた母子ら11人が死傷した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われ、禁錮5年の実刑が確定した旧通産省工業技術院・元院長の男(90)が近く刑務所に収容される。
関西でも交通事故で最愛の家族を失った遺族が一連の推移を注視していた。
◆2012年4月23日、京都府亀岡市で集団登校中の児童と保護者の列に軽自動車が激突した。この暴走事故で妊娠7か月だった長女の松村幸姫さん(当時26)を亡くした中江美則さんがラジオ関西の取材に応じた。
幸姫さん含め3人が死亡、7人に重軽傷を負わせた重大事故を起こしたのは少年たち。ハンドルを握っていた少年(当時18)は居眠り運転のうえ無免許。しかし危険運転致死傷罪には問えず、刑の軽い過失運転致死傷罪での立件となった。2013年9月に懲役5年以上9年以下の不定期刑が確定した。
中江さんは、加害少年の刑法上の処分が決まった後も、被害者の会「古都の翼」を立ち上げて無免許運転の厳罰化を求める活動を続けた。その活動は2014年5月施行の自動車運転死傷行為処罰法につながった。
そして2018年、犯罪加害者の更生支援を目指す団体「ルミナ」を立ち上げる。きっかけは、刑務所を出所したある男性との出会い。この男性は服役中に刑務所で見たテレビニュースで、事故後、加害者への怒りを訴える中江さんの姿が忘れられなかったからだという。
中江さんは当初、「犯罪者の気持ちなど理解したくもない」と思っていたが、 「犯罪者から更生したいのならば、自分の罪を心底憎んでほしい。そこから更生の資格がある」と思うようになった。更生支援団体には、ラテン語で「光」を意味する「ルミナ」と名付けて活動している。
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事故が起きたニュースに触れ、犠牲となった松永真菜さん(当時31)と長女の莉子ちゃん(当時3)、輝くような未来が待っている年齢を足しても加害者の年齢(90)に満たないことで、自分の怒りに火が付いたのを鮮明に覚えています。
この事故も無免許と何ら変わらないし、車だけじゃなくバイクも自転車も自分の足ではない宙に浮いてる状態で走らされてるんです。それなのに脚の治療をしている年老いたコントロールできない状況の者がハンドルを操作する理由が理解できなかったです。
世間の怒りを受けているのに、 「アクセルを踏み続けたことはないと記憶している」「車に何らかの異常が生じ暴走した」 などと通用するはずのない逃げ道を作って弁護人と刑事裁判に挑んできたことが、最も許せないと思いました。