これまで、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は、何度も繰り返されてきました。高齢者による大きな事故の多くは、アクセルとブレーキの踏み間違いが原因と言っても過言ではないでしょう。
池袋の事故で一番の問題点は、被告人自身が過失を一切認めようとせず、自動車の欠陥を主張し続けたことだと私は思います。客観的に明らかな事実関係を一切認めようとしないのは、周囲を見ないばかりか、人の意見を聞かず、説得をも受け入れない姿勢だと評価されてしまいます。このような「身勝手」とも言える場合は、免許を持つ資格が失われたと言わざるを得ません。
高齢者の免許返納は、一律に年齢だけで画することはできず、個々の運転者の資質や能力を個々に判断する必要があります。個別的な判断を具体的に進めるためには、免許を発行する公安委員会が、積極的かつ能動的にこの判断手続に関わり、早いタイミングで返納の要否をジャッジできる制度の構築を行うことが喫緊の課題です。
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警察庁によると、池袋の事故が起きた2019年、高齢ドライバーの免許の自主返納件数は前年より約18万件増加、約60万件と過去最多に。2020年は約55万件で、75歳以上が半数を超えている。高齢者の認知機能検査では判断力の低下や反応の遅れが指摘され、事故を起こす確率も高くなる傾向にある。交通捜査に携わる警察関係者は「高齢者は自分の判断能力の衰えを自覚できないため、家族の見守りや、運転を極力避けるような状況を作ることが重要」と話す。