明石市の泉房穂市長が17日、同市内で開かれたイベントで、受託業者のプロデューサーらに対し、「業者を変えてやる、知事に言ってやる」などと発言したとして、イベントの実行委員会側がが明石市へ抗議していたことが、兵庫県などへの取材でわかった。
実行委員会の担当者(兵庫県農政環境部・全国豊かな海づくり大会 企画課)が18日、兵庫県庁で会見し、「適切な発言だとはとらえていない」としたうえで、「大会を成功させることが一番大きな使命。こういったことがあったにしても、明石市と県は互いに連携しながら準備を進めていく必要がある」と、実行委として問題にするつもりはないとの考えを示した。今後、正式に抗議文を出したり、泉市長と直接面会し、意見を交わしたりして返答を求める予定もないという。
17日に行われたのは、水産業の振興と発展を図ることなどを目的に行われる国民的行事「全国豊かな海づくり大会」のプレイベント。明石市で行われる兵庫大会を1年後に控え、本番を想定したリハーサルの位置付けで、約300人が出席する中、漁船による海上パレードや稚魚の放流が行われた。明石市も同大会実行委のに名を連ねており、泉市長は副会長を務める。
実行委によると、イベントの終了後、受託業者のプロデューサーと営業部長の2人が泉市長の元に挨拶に赴いたところ、泉市長は「式典の中身がなっていない」「特に映像の出来が悪い、それでもプロの仕事なのか」「業者を変えてやる、知事に言ってやる」などと暴言を吐いたという。
また、イベントの一部で司会進行を担当した女性アナウンサーに、「明石市のPRのコメントが少なすぎる」「全体的に間延びしている」「なぜ臨機応変に繋ぎのコメントを入れないのか」などと高圧的に話したともされている。
いずれも、実行委が発言を受けた本人や居合わせた人から聞き取ったところ、「非常に温度感の高いコメントだった。一方的に話をされて、口をはさめなかった」と話しているという。
18日朝、受託業者からこれらの報告を受けた実行委は、「問題提起は問題ないが、受託業者に直接伝えたのは問題。また、発言は必要以上に精神的不安を煽るものだ」などと問題視。同日に明石市役所を訪れ、「行事進行上の課題については、受託業者に伝えるのではなく、実行委に伝えてほしい」「業者に不必要な負担を与えるような発言は慎んでいただきたい」などの要望や県の考えを記載したメモを市の担当者に手渡した。
会見した、実行委の担当者は、「受託業者もハラスメントと捉えて大きな問題にしたい意向はなく、さらなる検証が必要だと受け止めているところだ」と説明。「開催地が明石市であることを踏まえ、尾を引かせてはいけない。市長の発言内容は真摯に受け止めるべきで、県市連携で準備を進めていくことに変わりはない」とした。