床もみじが有名な実相院のある「岩倉」、漫画学部もあるユニークな芸術系の「京都精華大前」を過ぎると、住宅地からのどかな山間の風景に変わります。京都産業大学へのシャトルバスも出ている「二軒茶屋」で複線区間は終了します。
そして「市原」を過ぎて「二の瀬」との間で最高の紅葉鑑賞区間が現れます。単線になって青葉が覆いかぶさる250メートルが晩秋には“もみじのトンネル”になるんです。紅葉期間中は夜もライトアップされ、電車は車内の照明を暗くして徐行しながら進み、幽玄な風景を堪能することができます。
「二の瀬」を過ぎるとS字カーブと50パーミル勾配の連続で、山岳路線の様相を見せてきます。
「貴船口」を降りて川沿いを上っていくと水の神と言われる貴船神社に到着。ご神水に浸すと運勢が浮き出る「水占みくじ」でぜひ運勢を占ってみてください。また夏は川床でにぎわうこの一帯も、これからの季節はすがすがしい冷気の中で「貴船もみじ灯篭」の会場となります。
さあ、出町柳からちょうど30分で終点の「鞍馬」です。寺院風の木造建築の駅舎が出ると木の芽煮の香りが漂う参道を経て鞍馬寺仁王門へ。そしてこの横から出発するケーブルは日本で唯一、宗教法人が運営する鉄道です。わずか2分で山上の多宝塔前に。ここからは歩いて本殿金堂を目指します。義経も牛若丸時代に修業を積んだ鞍馬。神秘に満ちたパワースポットをめざす沿線は、もうすぐ紅く赤く彩られていくことでしょう。（羽川英樹）
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