兵庫県には、文化庁が認定した「日本遺産」が9件、国指定史跡のお城が22城あり、いずれも全国最多を誇る。また、1000を超す城跡や播磨国風土記など、個性豊かな地域遺産を数多く有している。そうした兵庫の歴史を学びながら、周辺のおすすめスポットを計15回のシリーズで紹介する。
【第12回】北前船寄港地・船主集落
江戸時代中頃から明治時代にかけて、上方と蝦夷地を結んだ海の大動脈「北前船」。「北前」とは、北陸など日本海沿岸の北国方面を指す上方の言葉だった。その北国の物資を運んでくる北前船は、日本海を舞台に各地の特産物を売買する「買い積み」の北国廻船で、初めは近江商人が主導権を握っていたが、後に、船を所有する「船主」が主体となって交易を行うようになったという。
北前船は早春、大坂や兵庫津で米や酒・塩・衣類などを積み込み、瀬戸内を西へ。山口県を北から東へと回り、日本海沿岸の港に寄港しては商品を売買した。夏になると、今度は蝦夷地でコンブや身欠きニシンなどを買い込み、晩秋は大坂へ。年1回の往復で商才を発揮したのは、淡路出身の高田屋嘉兵衛である。兵庫津を根城に「海を行く総合商社」さながら巨万の富を築きあげたことで知られている。
日本遺産「北前船寄港地・船主集落」には全国48の自治体が認定されており、兵庫県は神戸・高砂・赤穂・洲本・姫路・たつのの6市と新温泉町が名乗りをあげている。各自治体に由緒がある中、高砂の工楽松右衛門の存在は別格だ。
彼が発明した「松右衛門帆」は、従来の帆布に比べ圧倒的な大きさで船の航行効率を上げ、長持ちするために短期間に普及した。松右衛門は、この製造法を惜しげもなく多くの職人に伝授し、播州各地から倉敷や尾道など、広く瀬戸内で生産されるようになったのだ。
北前船が繁栄をもたらした寄港地や船主集落の中で、兵庫県は唯一、瀬戸内にも日本海にもゆかりがある。瀬戸内の高砂市には工楽松右衛門の旧宅が、日本海側・新温泉町にある為世永神社には船乗りらが航海安全を祈願して奉納した船絵馬などが残り、その歴史を伝えている。
■「NUTS LAB(ナッツ・ラボ)」
兵庫県神戸市兵庫区下沢通7丁目1-2 ナッツテラス1階
電話 078-577-3582
営業時間 10:00~17:30(L.O.17:00)
定休日 月曜(祝日除く)、不定休(公式SNSで告知)※2021年10月は催事出店のため月曜と火曜がお休み
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【文化庁日本遺産ポータルサイト】
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『歴パ!地域遺産バトンリレー』2021年10月30日放送分