播磨の名刹、 鶴林寺 (兵庫県加古川市) で、天台宗を開いた伝教大師・最澄の没後1200年に合わせた大遠忌が営まれている。期間中、国の重要文化財「常行堂(本尊・阿弥陀如来坐像 / 平安時代 )」と兵庫県指定文化財「三重塔(本尊・大日如来坐像 / 室町時代 )」を特別公開している(~11月8日)。
常行堂では「常行三昧(じょうぎょうざんまい)」という、口で阿弥陀仏を唱え、心に阿弥陀仏を思いながら、休息なく何十日も歩き巡る厳しい修業が行われた。その遺構としては鶴林寺のものが日本最古とされる。三重塔は室町時代の創建。江戸時代の大修理を経て、1976(昭和51)年に放火で内部を焼損したが1980年(昭和55)年に解体・復元修理されてよみがえった。
大規模な法要は通常、開闢(かいびゃく・始まりを告げる)・中日(ちゅうにち)・結願(けちがん・最後)と大きな法要を行うが、コロナ禍で鶴林寺では寺院関係者のみで非公開で行う。 緊急事態宣言は解除されたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための措置。 その代わり、鶴林寺の塔頭寺院の住職らによる特別リレー講演が開催される(10月31日・11月3日・11月7日)。このうち初回の10月31日は盛況のうちに終わった。
トップを切って講演した真光院(塔頭の一つ)・吉田実盛住職は「鶴林寺は、本堂と山門とを結ぶ参道を中心に、東西に均等な距離でお堂が並ぶ、まるで南十字星のような伽藍配置。非常に珍しいので、ぜひ散策にお越しいただき、実際に確かめていただきたい」と話す。
常行堂、三重塔は扉を開けて内部を公開。また、特別な御朱印もこの行事のために授与される。 入山料500円。
鶴林寺に伝わる数多くの宝物を展示している秋の特別展「鶴林寺に伝わる天台の教え」を開催中の宝物館では、11月8日までの拝観料(500円)が加古川市民は無料となる(特別展は12月12日まで) 。