命を落としそうになるピノッキオを森のお屋敷に住む優しい妖精が助けます。妖精はとても美しく、髪の色はターコイズブルーでした……。
もともとピノッキオの物語は1883年、イタリアでカルロ・コッローディが出版した「ピノッキオの冒険」です。
世界中の言語に翻訳されて、100年以上にわたって読み継がれてきました。1940年のディズニー・アニメも広く親しまれました。
今作のほか、ギレルモ・デル・トロ監督がストップ・モーション・アニメとして、ロバート・ゼメキス監督が実写映画として新作をつくる企画が進んでいるということで、魅力的な児童文学なんですね。
このガローネ監督による『ほんとうのピノッキオ』は、原作を忠実に描いている、といわれています。
好奇心旺盛で「人間になりたい」と純粋に願うピノッキオですが、実はいたずらっ子の問題児で、行く先々で不幸な出来事に巻き込まれます。
人の忠告を聞かなかったり、悪人のいうことを鵜吞みにしたり、進むべき選択肢を何度も間違え、とても危なっかしく感じます。
こうしたエピソードの一つひとつが人間の愚かさを示す比喩表現で、現代社会への皮肉や風刺を込めています。不条理コメディ的な要素もあり、ピノッキオが失敗を重ねながら人生の教訓を学んでいく寓話的構成です。
例えば、学校の場面。ピノッキオは自分の行いを反省し、学校へ通いますが、教師は子どもたちに体罰を加えます。ピノッキオは、学校に行かずに泥棒をする少年と仲良くなって、一緒に「おもちゃの国」へと向かいますが、実際はおもちゃの国は人身売買組織の罠で、ピノッキオは魔法でロバに変えられて、売り飛ばされそうになります。魔法を現代に置き換えれば、恵まれない人や立場の弱い人たちを利用する悪い大人です。