それから裁判所のシーン。ピノッキオは金貨が盗まれた、と裁判官に訴えます。
チンパンジーの姿をした裁判官は、
「なるほど、金貨が盗まれたんだね? 盗まれたなら 君は無罪だ。牢屋に入れろ!」
「牢屋だって無罪なのに?」
「だから牢屋に入るんだ」
「どうして?」
「この国では無罪だと牢屋行き。無罪なら牢屋に入れろ!」
このあと、ピノッキオはやってもいない盗みを次々告白する羽目になります。もともとは純真な子どもが大人の世界の悪影響を受ける皮肉です。もちろん、嘘をつくとピノッキオの鼻が伸びていく有名なエピソードも盛り込まれています。
ピノッキオ役は、ガローネ監督が見出した子役、フェデリコ・エラピ。特殊メイクがリアルです。ジェペット爺さんを演じるのは『ライフ・イズ・ビューティフル』で知られるロベルト・ベニーニ。
ガローネ監督は作品のテーマをこう語っています。
「『ピノッキオの冒険』は貧困と社会のあり方をテーマにした物語で、人間とは何かを探求し、人生の葛藤、生きること、幸せになること、そして愛を求める苦悩を描いている。もちろん、父子の心温まる愛の物語でもある。すごく豊かで、示唆に富み、人間の特性の側面を象徴したようなさまざまな動物が登場するんだ」
絵画の中に入ってしまった夢を見ているような、芸術的な映像です。映画『ほんとうのピノッキオ』は11月5日(金)、公開。(SJ)
◇映画『ほんとうのピノッキオ』(原題:PINOCCHIO)
※上映日程は、作品の公式サイト・劇場情報でご確認ください。