当時、比叡山延暦寺を襲った織田軍もその後、豊臣、徳川の勢力の前に屈した。そして延暦寺はその豊臣家、徳川家によって復興された歴史がある。「怨親とは、定まったものではないとつくづく思う」と延暦寺の水尾寂芳執行は語る。
そして、記念のシンポジウムがオンラインで開催された。織田氏は「お話しをもらい当初は信じられなかったが、怨親平等の考えを聞き参加した。信長もこのことを知り、大変喜んでいると思う」と語った。明智氏は「光秀も感慨無量だと思う。明智一族はかつて名前を隠すなど苦難の日々を歩んできた。そういう意味でも、きょう(9月12日)は信長、光秀の子孫にとって新時代の幕開けとなる日だ」と話し、「現在も世界各地で紛争が存在しており、戦のない世を追求し続けていくことが重要だ」と述べた。
コーディネーターは勝海舟の玄孫、髙山(こうやま)みな子さん。海舟は幕末時代、江戸城総攻撃の目前、官軍の総帥・西郷隆盛に直談判し、江戸城無血開城を成し遂げたことで知られる。
髙山さんはその精神を汲み「どの時代でも、平和に生き抜くことは決して楽ではない。憎しみを持ち続けることによって生きにくくい世にしている。現代に生きる私たちは、戦争や紛争といった人の命を奪うやり方ではなく、人間としての英知を駆使して、長く平和を享受する方法を考える時に来ている」と話した。(焼き討ちという)被害に遭った延暦寺で、時を経て織田・明智両氏の子孫らが介したシンポジウム。そして最後はパネリスト織田氏、明智氏、水尾執行らが拳をつきあわせる「グータッチ」。
この模様は動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」でも配信されている。