さらなる高みへ、目標は80億円! 好調、兵庫県加西市の「ふるさと納税」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

さらなる高みへ、目標は80億円! 好調、兵庫県加西市の「ふるさと納税」

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 兵庫県加西市の「ふるさと納税」が人気を集めている。

 ふるさと納税とは、寄付額に合わせて税金が控除されるうえに、寄付先の自治体からお礼の品として特産品などが送られるといううれしい制度。コロナ禍の巣ごもり消費により、2020年度の全国のふるさと納税受入額は前年度に比べて件数で1.5倍の3500万件、金額では1.4倍増えて6725億円に達する人気ぶりだ。

 全国の2020年度受入額順位を見てみるとトップは宮崎県都城市で135億2500万円、トップ5には100億円前後の市町が並ぶ。そんななか、人口4万3千人の加西市が前年度から2.7倍の約53億円を集めて全国9位に食い込んだというからすごい。

 なぜ加西市がこれだけ人気なのか調べてみると、市内メーカーのヒット商品であるアラジン・グリル&トースター目当ての寄付が多いということもあるが、それ以外にやはり市役所が独自の工夫を凝らしていることが分かった。

 具体例を挙げると、まずは2回のクラウドファンディング。1回目は市内に本社のある会社が製造したマスクを地域の子どもや高齢者に配布するというプロジェクトで、約6500万円が寄せられた。2回目は新型コロナウイルスの感染拡大で経営がひっ迫している加西産神戸牛の生産農家を支援するもので、約9600万円が集まった。

 さらに、返礼品となる地元特産品の調達経費を半額補助するという農林水産省の制度に採択され、神戸牛を倍増して返礼するキャンペーンを実施。するとテレビのニュース番組でも取り上げられて話題になり、このキャンペーンだけで約1億円が集まった。ほかにもふるさと納税ECサイトの市トップページのリニューアルなど細かい作業も怠らない。

 さて今年度の実績はと言うと、9月末現在で前年同期と比べ約1.3倍増。旧海軍飛行場跡を戦争遺跡として整備するクラウドファンディング「鶉野飛行場跡活性化プロジェクト」では3か月で約2億円が寄せられた。ECサイトの検索キーワード分析や最適化のほか、掲載写真にロゴやキャッチコピーを重ねて目立たせるといった細かい作業の積み重ねにより、サイトアクセス数も約2倍に伸びているという。

 市役所で担当するのは地域振興部の「きてみて住んで課」という少し変わった名前の部署。ふるさと納税のほかに移住・定住の支援も手掛ける“まちのPR部隊”だ。同課では「ふるさと納税は単なる財源の奪い合いでなく、シティプロモーションに欠かせない手段」と捉える。人気が人気を呼ぶ仕掛けを次々と打ち、今年度は80億円の突破を目指している。(播磨時報社)

ふるさと納税の2020年度受入額が全国9位になったことを記念し、加西市役所でお祝いのくす玉割りが行われた(2021年9月22日)
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