“多様性と一体性の時代”を映す新たなヒーローたち マーベル最新作 映画『エターナルズ』レビュー | ラジトピ ラジオ関西トピックス

“多様性と一体性の時代”を映す新たなヒーローたち マーベル最新作 映画『エターナルズ』レビュー

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 セルシとイカリスはかつて恋人同士だったが、あるきっかけで別れ、1世紀ぶりに再会。エターナルズの戦術的リーダーである彼は、宿敵が数世紀ぶりに復活したことを知り、世界中に散らばっていたエターナルズを結集させるために立ち上がる。

「エターナルズ」大ヒット公開中(©Marvel Studios 2021. All rights reserved.)

 彼らは次々に再会を果たす。メンバーで唯一、セレスティアルズと交信することができる精神的リーダー・エイジャック(サルマ・ハエック)、インド映画界で人気者になっていたキンゴ(クメイル・ナンジアニ)、オーストラリアの農場でひっそりと暮らすギルガメッシュ(ドン・リー〈マ・ドンソク〉)と、コズミックエネルギーでどんな手持ち武器も創り出すセナ(アンジェリーナ・ジョリー)。

 アマゾンの奥地に集落を築いていたドルイグ(バリー・コーガン)は人間の心を操る能力を持ち、聴覚に障がいのあるマッカリ(ローレン・リドロフ)は、その障がいゆえ、高速で走る際に発生する衝撃音に影響を受けず超スピードで走ることができる。発明のパワーを持つファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)はゲイで、パートナーと子どもと共にシカゴで暮らしていたが、人類の一大事ということで重い腰を上げる。

 計10人。エターナルズのメンバーが集結した。しかし、地球ではある壮大な計画が実行されようとしていた。人類の危機は目前に迫り、地球滅亡まであと7日しか残されていないという。

「エターナルズ」大ヒット公開中(©Marvel Studios 2021. All rights reserved.)

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 監督はクロエ・ジャオ。もともとマーベルの大ファンで、ずっとマーベルの映画を作りたかったという。彼女は、第93回アカデミー賞で、作品賞、監督賞を含む6部門でオスカーに輝いた『ノマドランド』(2020年)で一躍有名になったが、実はこの『エターナルズ』への起用はそれ以前に決まっていたそうで、まさに大抜擢だった。撮影では、「可能な限り実写で」と望む監督のため、巨大なセットを屋外に組んだという。

 中国生まれの監督、国際色溢れるキャスト、ろう者のローレン・リドロフを起用して手話を取り入れたなど、多人種、障がいやLGBTQをはじめとするマイノリティ……人類もヒーローも多種多様。1976年に発表されたコミックがベースになっているが、キャラクターの性別や設定にも変更が加えられ、今や時代の主流となっている“ダイバーシティ&インクルージョン”(多様性と一体性)に配慮した作品に仕上げられているのがスゴイところ。

 歴史を絡めた人類の栄光と悲劇を、まるで叙事詩のごとく壮大に、世界、宇宙、時代を超えた“愛と家族の物語”として綴っていく2時間35分の大作。新たなMCUの誕生に、大いに期待が膨らむのである。セルシの恋人・デインの運命の変化を示唆するエンドクレジット後のオマケシーンも、ぜひ見逃さないでほしい。(増井孝子)


【『エターナルズ』公式サイト】

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ばんばひろふみ!ラジオ・DE・しょー! (2) | ラジオ関西 | 2021/11/10/水 11:00-12:00

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