ライブ再開の構想はこうでした。観客を入れたライブの様子をフィルムに収めた上で、テレビの特番として公開する、というものです。
ライブは新曲を中心に演奏することになり、まずロンドンにある映画用のスタジオ、トゥイッケナム・スタジオで新曲のリハーサルを行ない、その模様もフィルムに収めることになったといいます。
『ザ・ビートルズ:Get Back』は、第1話から3話までの三部構成になっていて、ゲット・バック・セッションを時系列通りに伝えています。
1話の終盤に、ジョージが自分の居場所を失ってグループを脱退してしまいます。
特番の計画は暗礁に乗り上げ、何よりバンド存続の危機です。何度も何度もメンバーの話し合いが重ねられ、この結果、別のスタジオに移ってアルバム制作をしながら、サプライズの野外ライブを目指すことでジョージが復帰することになりました。
この映画の最後では、ザ・ビートルズのラストライブとなった、レコード会社屋上でのコンサートが史上初めてノーカットで観られます(42分間)。
配信にあたって、ポールは「僕たちの間にあった“愛と友情”が胸によみがえってきて、当時、僕たちがどれほどクレイジーで素晴らしい時間を過ごしていたのかを思い出させてくれた」と語っています。また、リンゴは「当時の僕たちは何時間も笑ったり、音楽を演奏したりして過ごしていた。きっとこのフィルムは、僕たち自身が体現していた“愛と平和”が、より強調された作品になるはずだ」とコメントを寄せています。
これまで未発表だった映像は合わせて57時間以上あって、保管されたまま半世紀以上、封印されてきました。未発表音源は150時間です。
これらをピーター・ジャクソン監督が3年間かけて、色の良い鮮明な作品として復元・編集してきました。監督は「この作品をビートルズ・ファンが長らく夢見てきた“(当時の)現場に立ち会う”という究極の映像体験にするつもりだ。つまり、タイム・マシーンに乗って1969年に戻り、スタジオで4人が素晴らしい音楽を作っている現場に居合わせられるような体験だ」と今作の楽しみ方を伝えています。