◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」vol.60
1年間の自分への慰労を兼ねて、毎年この時期に1泊だけのひとり旅をしています。
今回訪れたのは岡山県津山市。岡山市・倉敷市に次ぐ県内3番目の都市で人口約10万人、県北部・美作地域の中心となる城下町です。街の真ん中をゆっくりと吉井川が流れ、しっとりとした情緒を醸しだしています。
まずは「津山城(鶴山公園)」へ向かいます。ここは初代藩主・森忠政(森蘭丸の弟)が13年の歳月を費やして造った5層の天守をもつ平山城。まず目に入るのは城跡に高くそびえる立派な石垣で高さは22メートルほどあるといいます。天守がない城跡でこれだけの規模を誇るところは珍しいでしょう。また本丸跡の横には築城400年で復元された畳敷きの備中櫓があり、ここからは中国山地に囲まれた盆地に広がる街並みが一望できます。また春には約千本の桜が咲き誇る西日本有数の桜の名所となりますが、冬の人の少ない時期の散策も趣があり、おすすめです。(大人300円、中学生以下無料)
次に訪れたのはJR津山駅に隣接している「津山まなびの鉄道館」。京都・梅小路に次ぐ国内2番目の規模の機関車庫をもち、鉄道の歴史と変遷を学べる施設として人気を集めています。
津山にこんな立派な扇形機関車庫があったのは、蒸気機関車全盛期に山陽と山陰を結ぶ要衝だったからでしょう。キハ28やキハ58など、なつかしの気動車を始め、ディーゼル機関車・D51蒸気機関車など計13両が収蔵されています。またこの車庫は転車台とともに近代化産業遺産にも登録されているんです。
ほかにも津山の街を列車が駆け抜けるNゲージのジオラマ模型、 岡山の鉄道の歴史や列車の動く仕組みもわかりやすく紹介されています。(一般[高校生以上]310円、中学・小学生100円、幼児[小学生未満]無料。休館日は月曜[祝日の場合はその翌日]と12月29日~12月31日)
そして城下町の面影を色濃く残すのが「城東 重要伝統的建造物群保存地区」。なまこ壁・うだつのある町家が2キロに渡って軒を連ねています。「城東むかし町家(旧梶村邸)」は元禄時代築の豪商宅。NHK連続テレビ小説『あぐり』のロケ地にもなっており、手入れが行き届いた庭園や蔵ギャラリーにある棟方志功の版画も必見。また数多くの洋学者を輩出した津山藩の資料を展示する「津山洋学資料館」では、あの解体新書を見ることができるんです。