最悪の時期を乗り越えた要因は「とにかくやってみよう」 兵庫・播磨のモノづくりを支える金属加工の町工場 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

最悪の時期を乗り越えた要因は「とにかくやってみよう」 兵庫・播磨のモノづくりを支える金属加工の町工場

LINEで送る

この記事の写真を見る(4枚)

そこで薄利多売の構造を見直そうとQCD(Quality=品質、Cost=費用、Delivery=納期)の観点から業務をチェックした。一番の問題は最終工程となる溶接作業のベテラン職人が納期を意識していなかったこと。笑い話だが、相手の望む納期に間に合わせるのではなく、あくまでマイペースで完成させる“江渕納期”という言葉がまかり通っていた。この状況を変えようと、納期を守るには誰がいつ何をすべきか、作業工程の見える化に取り組んだ。今でこそパソコンで一目瞭然にできているが、この時はホワイトボードにペタペタと付箋(ふせん)を貼り付けた。

次に見積。妻が本格的に事務を手伝ってくれるようになったのを機に2人で図面の見方を勉強して適正価格に改めていった。もう1つは鉄オンリーからの脱却。遠方の協力会社に外注していたステンレス加工を私が独学で学んだ。ちょうどステンレス製の自動車関連品需要が伸びてきたことも手伝い、メーカー直の仕事も増えて少しずつ利益を残せるようになってきた。

苦しい時代を力合わせて乗り切ってきた江渕修社長(左)と妻の美香専務

――経営が安定してきた時にリーマンショック。

【江渕社長】 最悪期に社長を交代した。仕事が一気になくなったので平日は経験のなかった飛び込み営業、週末はひょうご産業活性化センターのセミナー受講という日々を続けた。学んだことを実践するため、従業員に「完璧じゃなくてもいいから、とにかくやってみよう」と言い続けた。今も続いているが、人を動かすのは本当に大変。センターの取引商談会にも必ず参加するようにした。そこでつながった会社もある。

――業績の回復は。

【江渕社長】 2011年後半から上向きだした。納期遅れはゼロ、不良率も低くなり、取引先から信頼されるようになった。

――コロナの影響は。

【江渕社長】 幸い大きな打撃は受けず、国の事業再構築補助金に採択されたので最新のレーザーロボット溶接機を導入することにした。高速かつ高品位な溶接加工で、継ぎ目がゆがみにくくなるのが特長。これを武器に来年からは医療や食品、半導体業界への進出を目指す。

小径・長尺で複雑な格子板の曲げ加工もお手の物

◆株式会社江渕工業所
姫路市大津区天神町2-11
電話 079-236-0492
【公式HP】

LINEで送る

関連記事