【東ブクロ】最初は一緒にネタ作りをしていたんですよ。僕も案出しをしていたんですが、本番直前「もう出るぞ」みたいなときまでボケが全然決まってへん、みたいなことも多くて。直前にあわてていたくないし、決まっていてほしいじゃないですか。でもあいつは直前までネタを推敲して、「ここちゃうな」とか「こことここ変えるわ」とか。そういうのを見ていると、俺もしんどなってきて(笑)。そんなにずーっとネタのことだけ考えられへんなっていう。でもあいつはそれができるんですよね。「まぁこれでええか」っていう状態では表に出さず、ギリギリまであがく。お笑いを本当に好きやからできるんやろなと思います。
——それで、ネタ作りは森田さんにお任せするようになったんですね。
【東ブクロ】そうです。もう無理やこんなもんって(笑)。そういう努力を怠らへんところは、すごいとこだなと思いますよ。相方からしたらしんどいですけど(笑)。「こんなんどう」って提案すると、あかんかったらあかんって言ってくれたら良いのに、すごい言葉を選んで「こっちの方がええんちゃう」とか返してくるんです。(森田は)相方が言ってることに「おもんない」とは言わへんから。そういうのを見ていると、できあがった状態でネタを知る方がええなぁと(笑)。だから、思いついたけど消されたら嫌やなっていうのは本番で入れるようにしてます。
——アドリブということですか?
【東ブクロ】森田に言わず、本番で入れるんです。頼んでない料理を持ってくるっていう居酒屋 のネタがあるんですけど、料理をフッと顔に近付けるくだりがあるんですよ。あれは、単独ライブの本番で入れましたね。それで森田がリアクション取ってくれてウケたんで、「良かったんや」っていう。
——そんな駆け引きのようなことをやっていたんですね! 『キングオブコント』決勝(2017年)でも、そのくだりは残ってますよね。
【東ブクロ】そうですね。けっこう、そういうことやってます。森田はウケたら「なんでそんなことやったん」みたいには言わへんから。消されたら嫌で、確実にウケるやろなっていうのは本番で入れてます(笑)。
——自分が面白いと思うことを突き通す方、お客さんが面白いと思う方に寄せていく方など、芸人さんにもいろんなタイプがいると思います。森田さんはどういうタイプなんでしょうか?
【東ブクロ】そこのバランスが良いんじゃないですかね。多分やりたいことをやってるんでしょうけど、お客さんのウケが第一っていうのはブレてないと思うんです。やりたいことやるけどウケない、ってのを良しとはしてないですからね。ウケへんかったときは、アプローチの仕方を変えるという感じですかね。この方向じゃないなら逆側から行こう、みたいな。お客さんにウケるためにはどうしたらええかっていうのは、よう考えてると思います。
◆マネージャーへの信頼感