受け止める印象や、思い浮かぶものをひとつの文字として表現するのは、その季節や時期、それぞれの立場によって千差万別です。今年の漢字がスタートした1995年は「震」。阪神・淡路大震災の影響は大きかったし、東日本大震災が起きた2011年の「絆」(61,453票と過去最多)など、人々の思いや願いをダイレクトに表すことができる漢字は多大なる力を持つ文字です。
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京都・祇園の漢字ミュージアムで開かれている「今年の漢字展」(~2022年2月13日)。清水寺で森清範貫主がこれまでに揮毫(きごう)した大書、27年分の現物が展示されている。
訪れた40代の夫婦は、それぞれとらえ方が異なっていた。「金」やはりオリンピック・パラリンピックと答える夫と、「金」をお金ととらえた妻。
夫は「開催するのかしないのか、日本中で議論になったが、日本勢の活躍は勇気づけられました。来年(2022年)も北京オリンピック(2月4日~20日・予定)もあるし」。妻は「家計を預かる立場では、やっぱり給付”金”のイメージですよね。現金であってもクーポンであっても。世の中が落ち着いた、キラキラした年にしたいという思いもあります」と話した。
1995年から2021年までの27文字のうち、「災(2004・2018年)」、「偽(2007年)」などマイナスイメージを持つ漢字が選ばれた年もあった。しかし2021年の「金」はメダルの金であれ、お金の金であれ、新しい年・2022年に向けて立ち上がり、光り輝く希望を持った人々が投じた22万票だった。