阪神・淡路大震災を引き起こした、兵庫県南部地震の発生から丸27年となった17日朝、神戸・三宮の公園「東遊園地」では、犠牲者を悼む行事が行われた。朝5時ごろから徐々に人が集まり、市の発表によれば、午前7時の時点での参加者は約4千人だった。
東遊園地は、カフェやレストランが入る施設や子ども向けの図書館をつくるため、2021年秋から23年秋にかけ、再整備のための工事がスタート。芝生広場など一部を除いて工事用のフェンスが張り巡らされる、例年と異なる景色になった。震災関連のパネル展示や炊き出しは中止となり、代々木公園(東京都渋谷区)で予定されていた東京会場も2年続けて開催を取りやめた。
地震が発生した午前5時46分には、会場に集まった人々が1分間の黙とうをささげた。人々が囲んだのは、例年の約半分となる5千本の灯籠で作られた、「忘(わすれない) 1.17」の文字。「忘れてはいけない」という教訓だけでなく、「忘れてしまいたい」といった、消極的な声も反映させた。灯籠は県内外の市民団体などが手作りしたもので、「絆」「愛」「光」などが書き入れられた。
遺族代表による追悼の言葉は、同市東灘区で被災し、姉を亡くしたシンガー・ソングライターの田代作人さん(37)が務めた。「(姉は)家族全員が身代わりになれたらと願うほどよくできた人だった。(両親にとって)震災は姉を奪った恨むべきもので、忘れないように歌うことは親不孝かもしれない。これからの当たり前ではない日々を、肩肘張りすぎないように歌い生きていきたい」などと、涙ながらに語った。田代さんは十数年前から、全国各地の学校をまわり、震災の記憶を歌でつなぐ「弾き語りべ」として活動を続けている。
西宮市の男性(38)は、「神戸のまちも変わった。震災後に生まれた人と働いているが、話が合わないことがあり、震災の風化を感じる」と話した。高砂市の女性(34)は、「去年、知り合いの家族が亡くなっていたことを聞き、初めて東遊園地に来た。震災のことを考え続けることが、風化をさせないために大切ではないか」と力を込めた。