何かを抜いて欲しいとのご要望をお受けした際、できる範囲で対応させていただいたことはございます。しかし、今回のように特別に工場に依頼したのは初めてです。
カタカナがやっと読めるようになった小さなお子さんが、「ハンバーグを食べたい」とお母さんに話し、ご両親が何とかできないものかとご相談くださり……。お子さんと親御様のお気持ちが本当によくわかりました。私自身、何とかしてスエヒロ館のハンバーグをお子さんに食べさせてあげたい、と思いお受けしました。
――具体的に、どのような対応をお取りになったのでしょうか?
食物アレルギーは命に関わる問題であると、普段から心得ているため、お問い合わせをメールでいただいた翌朝には、社長に報告しました。
社長からは「気持ちは分かるけど……」と少しの沈黙の後、「コンタミネーション(製造過程における食物混入)の問題もあるから、お店任せにせず、しっかり管理してやりなさいね」と言われました。工場もお店も限られたメンバーのみが関わり、責任を持って行うことで許可を得ました。
ご来店当日も、念には念を入れて、本部の厨房マネージャーを店に配置。機材の使い回しをしない、ハンバーグのオーブンには他のハンバーグを一緒に入れない等の対応を取りました。
――今回のハンバーグは、どのようにして作られたのでしょう?
お客様にはあえて詳しく説明はいたしませんでしたが、実は工場長が、通常のハンバーグ製造を始める前、夜中に出勤して作ってくれました。通常は機械でお肉を混ぜてから手ごねを行いますが、今回は細心の注意を払い、機械を使用しなかったうえ、別室で全て手作りしました。工場長は、「大丈夫です。気持ち、すごく分かるんです。十分に注意して1人で作りますから」と言ってくれました。ハンバーグを頬張るお子さんの写真を送ってくださったので工場長に見せましたら、「良かったーっ!」と笑顔で応えてくれました。
――今後、他のお客様から食物アレルギーの相談があった場合はどうされますか?
できること、できないことを判断し、誠意を持って可能な限り対応したいと考えております。ただ、今回はかなり特別なことでした。