ロンドンにある大美術館から名画が盗まれ、世間を騒がせた事件。犯人はお年寄りたちを大切にする、普通のおじさんでした。実話をもとにしたハートウォーミング・コメディー、イギリス映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』が2月25日(金)、全国公開です。
ここはイギリス北部の町・ニューカッスル。時代は1961年。主人公はタクシー運転手のケンプトン・バントンです。収入は少なく、妻・息子と3人で小さなアパートで年金暮らしをしています。
一方、2300点以上の貴重なコレクションを揃え、世界中から年間600万人が訪れるイギリス国立の美術館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」で、ゴヤ作「ウェリントン公爵」の肖像画が盗まれました。この絵はイギリスの国宝とされる名画です。盗難事件をロンドン警視庁が捜査します。
「計画性と実行力の高さから見て、専門技術を持つ国際的な犯罪組織でしょう」(記者会見で語るロンドン警視庁の幹部)
警察は、国際的なギャング集団の周到な計画による犯行だと断定するのですが、犯人はケンプトンでした。
ひとり暮らしのお年寄りの楽しみはテレビを見ること、ということで高齢者の生活を少しでも楽にしようと、ケンプトンは盗んだ絵の身代金を寄付して公共放送・BBCの受信料を肩代わりしようと企てたのです。ケンプトンは、警察に脅迫状を送ります。
「絵画を返して欲しければ、年金受給者はBBCテレビの受信料を無料にせよ!」
ロンドン警視庁は専門家に依頼して脅迫状を分析しますが、これは犯人とは関係のない賞金目当ての人物による仕業だと結論付けます。
「身体能力が高く、コマンド隊か元特殊部隊員でしょう」(ロンドン警視庁の幹部)