(3)「ムーブメント」
時計のムーブメントは車でいうところのエンジン、人間でいうところの心臓部。最も価格の違いが出るとところです。セイコーのSKX007には「手巻き機能」がついていないので、手動でゼンマイを巻くことでパワーをチャージできません。一度止まってしまったら、時計を振ったり、腕につけてしばらく動かしたりして、中のローターを回さなければならないのですね。それから、「ハック機能」という、リューズを引いた時に秒針が止まる機能がついていません。一方のロレックスのサブマリーナーにはこれらの機能がついています。
そして、ムーブメントの一番の見せ所「精度」にも明確な違いがあります。スペック上では、セイコーのSKX007は、1日の誤差がマイナス20秒からプラス40秒と、1日1分くらいのズレがあります。一方のロレックスのサブマリーナーはプラスマイナス2秒以内、つまり最大でも1日4秒のズレしかないことになります。このように、ムーブメントの違いはスペック(すなわち時計の性能)の違いに直結しています。一見同じ時計でも大きく価格差があるときは、このムーブメントに秘密が隠れている可能性が高いです。
(4)「耐久性」
ダイバーズウォッチは“ダイバーの命に直結する計器”と考えられているため、国際基準で最低限のスペックが規定されており、どちらも基本的には高いスペックになっています。防水性については、セイコーのSKX007は200メートル防水、ロレックスのサブマリーナーは300メートル防水を備えています。どちらもダイビングでも使えるほど高いスペックですが、サブマリーナーの方が高いスペックとなっています。その他、耐磁性や耐衝撃性などについても両者の耐久性には差がありますね。
また、オーバーホール(分解点検・洗浄・修理)の周期も違います。オーバーホールとは車で言うところの車検のようなもので、時計を長く使うには必要なメンテナンスです。時計のオーバーホールは、ほとんどのメーカーで3~5年に1度の周期が推奨されています。一方、現在のロレックスはおよそ10年ごととアナウンスしています。ここになんと3倍もの差があるのですね。このように時計の耐久性の差も価格の差に現れていると考えられます。
(5)「ブランド」
ここは直接、時計本体とは関わりがありませんが、企業としてはブランドを維持していかなければなりません。そのため、「ブランドの活動を支えるだけの分も価格に上乗せされている」と考えられるかと思います。例えばセイコーであれば、国際的なスポーツ大会のスポンサーになっていたりしますし、ロレックスであれば、有名どころだとF1をスポンサードしたりしています。
あとはブランドを支える設備や人件費です。例えば、本社や工場、店舗、スタッフや技術者などですね。セイコーの時計は、基本的に日本やアジアで製造しているので比較的安価に作ることができますが、ロレックスの時計は基本的にスイスで作られています。スイスの物価は世界最高水準、人件費は日本の3倍はします。その分の価格も上乗せされているでしょう。その他、時計を入れる箱やカードなど、付属品の豪華さも価格に関係してきます。