「神戸の方のみならず、全国で菊水を愛してくださったのに、十分に商品をご提供できないのが申し訳なくて」。2010年の廃業時と異なるのは、インターネットでの情報の速さだったことに、堀木さんは驚く。
「神戸名物・瓦せんべい、まだまだ頑張っています。神戸の街には、いくつかお店も残っています。ただこの業界、高齢化が進んでいるのが現実です。うち(菊水総本店)はなくなりますが、神戸の瓦せんべいを守り育てていただくためにも、それぞれ違う味を楽しんで、発祥の地・楠公さんの歴史も振り返っていただきたい」と話す。
かつては神戸の中心地だったJR神戸駅周辺。「やっぱり楠公さん(湊川神社)あってのこの街、今後、この文化ゾーンが活性化して、訪れる人たちが和める場所になれば」。
寂しくなるが、悔いはない。「最終日の3月21日も、いつもと同じように、皆さまをお迎えしますよ」と堀木さん。最終日は在庫の商品がなくなれば、早めに閉店するかも知れない。
神戸開港とともに、港都・神戸で産声を上げた「生き証人」がこの春、姿を消す。