池本の案は市の政策として採用され、知事からも正式に大河ドラマにチャレンジしてほしいと依頼が届きます。それまで冴えない公務員だった池本は、プロジェクトのリーダーに指名されます。
まず、ドラマの脚本作りを始めなければなりません。池本は、お調子者の部下・木下(松山ケンイチ)とともにベテラン脚本家の加藤(橋爪功)の自宅を訪ねます。加藤はすでに引退していて、すぐに断られるのですが、池本たちは苦労して説得し、なんとか加藤に応じてもらいます。
ドラマのプロット(あらすじ)を提出する日、加藤は池本たちにある事実を告げます。
加藤「伊能忠敬は日本の地図を完成させてない。だからドラマにはならない」
加藤が言うには、忠敬が死んだのは文政元年(1818年)で、地図が完成したのは文政4年(1821年)。3年間のブランクがあります。地図が出来上がるより前に忠敬は亡くなっていたことになります。
加藤「忠敬の死は伏せられていたんだ」
「え、じゃあ、誰が?」池本と木下は茫然として、表情が固まります……。
ここまでが映画『大河への道』現代パートです。物語の舞台はこのあと江戸へ移ります。江戸パートはおよそ200年前の日本地図完成をめぐるエピソードを描くドラマで、現代パートの登場人物が一人二役として演じています。