【橋本】 そうなんですね! なぜか一発屋みたいなイメージでとらえてしまっていました……。
【中将】 ビジュアルといい、音楽性といい、あまりに80年代的すぎたんでしょうね……。90年代に入って音楽シーンの潮流が変わると“一昔前のダサいバンド”というイメージが付いてしまった感があります。
【橋本】 そうなんですね……90年代を通っていない私にとっては逆に新しいんですけどね……。
【中将】 流行とか「古い」「新しい」みたいな感覚ってその程度のもんなんですよね。1984年生まれの僕は90年代ってなんだかダサいという偏見がありますし(笑)。
とは言え、チェッカーズにせよC-C-Bにせよ、バンドなんだけど事務所やレコード会社の権限が強く、なかなか自分たちが思うような音楽ができないというフラストレーションがあったと思います。そんな軋轢の中で花開いたのがアイドルバンドというスタイルなので、今でも当事者には、当時の活動に複雑な思いを抱く人はいるんじゃんないでしょうか。
【橋本】 私なんかなんでもいいからヒット曲ほしいですけどね(笑)。10年前にグループを結成したころは「本格的なシンガーとして見られたい!」と思っていましたけど、30歳に近づいた今では「いつまでアイドル的な存在でいられるだろう……」と思っています(笑)。
【中将】 菜津美ちゃんたちのグループ「半熟BLOOD」は個人事務所なのに自らアイドル的な売り方になってるもんね(笑)。最近は割り切ってアイドル的であろうとする人が増えているので、それは1つの傾向として面白いと思っています。
さて、80年代にはアイドル業界から出てきたバンドもいました。代表的なものが「気まぐれONE WAY BOY」(1983)でデビューしたTHE GOOD-BYE。田原俊彦さん、近藤真彦さんらと並んで“たのきんトリオ”と呼ばれた野村義男さんが結成したバンドですね。
【橋本】 これはまさに昭和のジャニーズですね! 歌い方もチェッカーズやC-C-Bとは異質に感じました。
【中将】 今にして思えば初期の田原さん、近藤さんの歌い方ともなんだか似てますよね。けっしてお上手ではなく、甘くて舌足らずな感じの……。強いられた部分があったのかどうかはわかりませんが、こういう歌い方が当時のジャニーズとしては理想的だったんでしょうか。