【橋本】 確かにかわいくはあるんですけどね(笑)。ちなみに「気まぐれONE WAY BOY」はどれくらい売れたんでしょうか?
【中将】 相当プロモーションされたようですし、オリコン9位になりましたが、田原さんや近藤さんの売れ方に比べるとちょっと寂しいですよね。その後も大ヒットというほど売れた曲はありませんでした。
野村さんはバンドとして世に出たいという思いが強く、その結果、田原さんや近藤さんよりレコードデビューが3年ほど遅れました。結果、デビューはチェッカーズが売れ始めた時期とぶつかって、少し割を食ってしまった感はありますよね。
【橋本】 純粋なアイドル事務所出身の野村さんもバンドとして売れたいと思ってらっしゃったんですね……。
【中将】 出発は違うけど、結果的に活動内容はチェッカーズやC-C-Bと近いものになったと思います。80年代のアイドルバンドシーンはいろんな思惑が入り乱れていたわけですね。
さっき菜津美ちゃんの話もありましたが、歌手やミュージシャンという人気商売をする上でアイドル的な要素は欠かせないし、アイドル的であることを肯定できるようになったのは現代のいい面だと思います。個人的には自分がやりたいことしかせずカッコつけた挙句に消える人より、アイドルでも不本意でもいいからチャンスをつかんで売れた人が勝ちだと思うんですよね。
80年代を代表するアイドルバンドとして最後に紹介するのは、そんな芸能界の鉄則を体現したTHE ALFEE。彼らは1974年のデビューですが、1983年に「メリーアン」が大ヒットまで思うように売れず、10年近い下積み時代を過ごしました。
【橋本】 ALFEEがアイドル!?
でも今でもテレビで活躍されてるし、みなさんおしゃべりも上手いので、なんだかタレント的なイメージはあります。バンドマンなのに「えっ! そんなことまでやっちゃう?」みたいな。
【中将】 そこなんですよね。売れない時代が長かったからこそ、なんでもやって生き残ろうという思いが強いんじゃないだろうかと思います。