塩野義製薬は11日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、早ければ6月にも承認申請する方針を明らかにした。承認されれば、国産初の新型コロナ対応ワクチンとなる。
塩野義が開発を進めるのは「遺伝子組換えタンパクワクチン」 。最終段階の5つの臨床試験(治験)を実施しており、このうち4月の感染症学会で発表した試験では、20歳以上の成人や65歳以上の高齢者、計3,100人に2回接種を行い、安全性が確認されるなどしている。他社製との比較試験の結果は5月中にも判明する見込み。
なお、2月に承認申請し、厚生労働省で審査が続いている経口薬(飲み薬)については、100万人分の生産を終えた。さらに年間1千万人分以上の供給を目指したいとしている。
コロナ対応経口薬については、医療関係者からは早期治療につながり、感染拡大時の医療体制のひっ迫を解消できると期待されている。
塩野義は、治験完了前の段階でも実用化を可能とする「条件付き早期承認制度」の適用を求めているが、感染症の流行など緊急時に、ワクチンや治療薬について「緊急承認制度」を新たに設ける医薬品医療機器法の改正案が近く成立する見込みで、早期に薬事承認されるためには「安全性が確認され、有効性が推定される」ことが条件となる。この制度が塩野義の経口薬に適用されるかが今後の焦点となる。