【橋本】 かっこいい曲が多いですよね。子ども時代によく聴いたのでめちゃくちゃ覚えています。
【中将】 最後にご紹介する“歌手の人生を変えたアニメソング”は飯島真理さんの「愛・覚えていますか」(1984)。言わずと知れた劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌です。
【橋本】 これは名曲ですね……。「マクロス」シリーズは『マクロスF』や『マクロスΔ』が直球の世代なので、よく聞いたのは別の方が歌ったバージョンですが、この曲には思い入れがあります。
【中将】 飯島さんは歌手デビュー前にアニメ『超時空要塞マクロス』のキャラクター、リン・ミンメイ役の声優に起用され、脚光を浴びます。テレビ放送終了後に劇場版の主題歌としてリリースされた「愛・覚えていますか」もオリコンランキング最高7位、1984年度年間38位という大ヒットをおさめました。ですが、彼女の本文はあくまでシンガーソングライター。この曲やリン・ミンメイのイメージを求められ続けることに大きな違和感があったそうです。
【橋本】 「マクロス」の曲って登場キャラクターが劇中で歌うので、ファンはキャラクターと役の人を混同して好きになっちゃうんですよね。特に「愛・覚えていますか」はメッセージ性というかインパクトがものすごい曲だし、「マクロス」シリーズにとってなくてはならないものになっています。それを歌ったイメージはいつまでも続いてしまいますよね。
【中将】 日本での活動に疲れた飯島さんは1989年にはアメリカに移住してしまうんですが、そこでも「マクロス」人気が高いことに驚いたそうです。でもアメリカのファンはちゃんとリン・ミンメイと飯島さんを別個の人格として理解してくれたそうなんですね。そういう環境の中で、自分はあらためてものすごい作品と巡り会っていたことにあらためて気付かされ、ようやく精神的な圧迫から解放されたと。
【橋本】 そういうことに気付けたのって素敵ですよね。
【中将】 飯島さんはその後、2006年にアメリカで発表された英語吹替版『Super Dimension Fortress MACROSS』でリン・ミンメイの英語吹き替えを担当しています。一生を「マクロス」とともにする覚悟ができたのでしょうか、近年では関連イベントにも積極的に出演されていますね。
【橋本】 今回は4人の歌手の方とアニメソングとの出会いについてお話を聞きましたが、どれもとても運命的なストーリーですね! 私も歌手としてそんな曲との出会いをしていきたいです。