近年、情報化社会が進み便利になっています。その一方で、消費者を取り巻く環境は大きく変化し、消費者問題は多様化・複雑化しています。特に新型コロナウイルスの流行以降、インターネットを通じて商品を購入したり、サービスを契約したりする人が、これまで以上に多くなり、トラブルや被害に遭遇するケースが増えています。
増えているトラブルや被害とは、どのようなものなのでしょうか。対策などについて兵庫県弁護士会の消費者保護委員会でも活動する宝塚法律事務所の柴崎崇弁護士に聞きました。
――どのようなトラブルや被害が増加しているのでしょうか。
【柴崎弁護士】 最近は、社会的にSNSが定着し、様々な場面で活用されるようになったことで、SNSきっかけの消費トラブルが増えてきています。例えば、副業の情報発信をしている記事をきっかけに、「情報商材の販売」という名目で(売られている)高額な商材を購入してしまう事例や、SNSでの記事・広告を見て信用取引・オプション取引などハイリスクの取引に気軽に手を出してしまいトラブルになるなど、様々な被害が出ています。
――4月から成年年齢が18歳に引き下げられました。若者がトラブルに巻き込まれたり、被害に遭ったりすることも多いそうですね。
【柴崎弁護士】 未成年の場合は、契約をする際に親の同意が必要ですが、成年に達すると、親の同意がなくても様々な契約をしたり、ローンを組んだりすることができます。
実際に今まで(弁護士として)経験した中では、大規模な消費者金融での「名義貸し」事件がありました。会社の節税のため、返済は会社でするから名前だけ貸してほしいと言われ、同意したのちに会社がなくなってしまい、借金だけ抱えることになったという事件です。
実はその被害者が大学生から20代前半に多く、私より年下の年代がだまされて、多額の借り入れをしていることに驚きました。今後、成年年齢の引き下げにより、若者がトラブルに遭うケースがますます増えることが懸念されます。
――消費トラブルに合わないためには、どのようなことに気をつければよいでしょうか。