宮中行事を再現「御懺法講(おせんぼうこう)」京都・三千院 3年ぶり公開 雅楽と声明の融合、新緑に響く | ラジトピ ラジオ関西トピックス

宮中行事を再現「御懺法講(おせんぼうこう)」京都・三千院 3年ぶり公開 雅楽と声明の融合、新緑に響く

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 平安時代に後白河天皇が宮中で始めたとされる「御懺法講(おせんぼうこう)」が30日、 京都・三千院門跡(京都市左京区大原)で 執り行われた。

三千院・御殿門(ごてんもん)石組みは近江国坂本の石工、穴太衆(あのうしゅう)が積んだもので、頑強で風格がある
三千院・宸殿(しんでん)「御懺法講」は厳粛に執り行われた <2022年5月28日 総習礼(そうしゅらい)※許可を得て撮影しています>

 新型コロナウイルス感染防止のため、 2020年、2021年と2年連続で無参詣での開催だったが、今年(2022年)は感染対策を施して3年ぶりに公開された。

 御懺法講は1157(保元2)年に後白河天皇が宮中の仁寿殿(じじゅうでん)で営んだのが始まりとされる。比叡山延暦寺を本山とする天台宗で最も重要な儀礼と位置づけられ、宮中法会(ほうえ)として脈々と行われてきた。しかし、明治政府の廃仏毀釈(きしゃく)や第二次世界大戦などの影響でいったん途絶え、1979(昭和54)年に京都・五ケ室門跡(※)の一つ、三千院門跡で復興された。今回で復興されて44回目となる。

御懺法講は後白河天皇が宮中で営んだのが始まり 小堀光實門主が開扉前の厨子に一礼
御懺法講は心の中の「貪り(むさぼり)、怒り、愚痴」を取り除く宮中法会

 毎年5月、新緑の境内に独特の旋律をつけて経文を唱える仏教音楽・声明(しょうみょう)と雅楽の調べが響きわたるこの法会は、元来、諸悪の行いを懺悔(ざんげ)し、心の中にある「貪り(むさぼり)、怒り、愚痴」の三つの毒を取り除く意味合いを持つが、今年は新型コロナウイルスの早期収束と、ロシアによるウクライナ軍事侵攻の即時停戦も祈願した。
 法会は、 御所の紫宸殿を模した三千院の宸殿(しんでん)で執り行われた。本尊は伝教大師・最澄の作と伝わる秘仏の薬師如来で、2003(平成15)年、世界平和を祈願して開帳されたことがある。

後白河天皇(のち法皇)の御影を厨子に安置 法要のはじめに厨子が開かれ、僧侶は平伏する<2022年5月28日 総習礼(そうしゅらい)※許可を得て撮影しています>
約2時間の法会 今年(2022年)は「常行三昧 声明例時」<2022年5月28日 総習礼(そうしゅらい)※許可を得て撮影しています>

 導師を務める三千院の小堀光實(こぼり・こうじつ)門主らが雅楽の調べに乗せて声明を唱え、花びらをかたどった紙をまく散華(さんげ)なども行われ、約2時間の宮中法会が再現された。

三千院・宸殿は御懺法講を今に伝える道場
青もみじが美しい有清園(ゆうせいえん)

 仏教音楽・声明は中世ヨーロッパの典礼音楽・グレゴリオ聖歌と並び称され、近年ではコラボレーションされることも多くなった。浄瑠璃や能の源流ともされ、京都・大原は声明の聖地と称される。

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