新商品は“スニーカーを自分好みに”彩るペン 靴の街・神戸長田で挑み続ける「佐藤塗料」 OEMに活路 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

新商品は“スニーカーを自分好みに”彩るペン 靴の街・神戸長田で挑み続ける「佐藤塗料」 OEMに活路

LINEで送る

この記事の写真を見る(4枚)

 かつては“運動靴”と認識されていたスニーカー。近年では、日常のファッションとして、また通勤靴としても市民権を得てきている。そんなスニーカーにも使えるペン型の皮革用塗料など、新商品を繰り出し続ける塗料会社が兵庫・神戸にある。

 神戸市長田区で塗料の製造販売を手掛ける「佐藤塗料株式会社」。顧客の要望に応え、幅広い商品を取り扱う。ペン型の皮革用塗料など新商品の開発にも余念がない。しかし現在は、足元を彩る製品の多くが海外で生産されているという現実もある。佐藤塗料株式会社代表取締役の佐藤隆正さんに、靴産業の現状や、塗料業界を取り巻く環境などについて聞いた。

 佐藤塗料は、佐藤さんの父が昭和21年に創業。“靴の街”・長田で、底面やヒール部分などに使う、靴向けの塗料をメインに手掛けている。

「建物や自動車の塗料などは硬く、屈曲のある靴で使うとひび割れてしまいます。靴に使用する塗料は、柔らかくて長持ちすることが要求されます」(佐藤さん)

佐藤塗料株式会社では様々な塗料を扱う

 そして佐藤さんは、靴産業が東南アジアなどに移ってしまっていることを踏まえたうえで「靴は流行り廃りが激しい。以前は女性のサンダルが流行したとき、ヒール部分を色付けする作業をしていた時期が忙しさのピークで、夜も寝ずに作業をしていました」と、かつての隆盛を回顧。「最近では中国の商品に依存し、我々の仕事が減少していくような状況になってきています」と、現状への憂いものぞかせた。

佐藤塗料株式会社 代表取締役の佐藤隆正さん

 一方で佐藤塗料では、コンクリートの強度を高めるための薬剤も製造している。これは、他社ブランドでおもてに出す製品をつくる「OEM」の商品で、地元神戸の靴産業が縮小して塗料の売り上げが下がる中、OEM事業が会社の大きな支えとなっているという。

 OEMで製造している薬剤は、神戸に昨年オープンして以来人気の劇場型アクアリウム「アトア」(神戸市中央区)や、まもなく7月に移転する神戸市中央区役所の新庁舎、さらには今年2月に開館した「大阪中之島美術館」(大阪市北区)などの建物の外壁に用いられている。

 佐藤塗料では”こういうものはできませんか“という顧客からの要望を聞き、それに応えることの積み重ねで、取り扱う商品の種類を増やしてきた。「同じものを作っていてはダメ。常に新しいものに挑戦していく」というのが佐藤さんの信念だ。

LINEで送る

関連記事