もう、お正月だけとは言わせない。「伊達巻」の新しい食べ方がSNSで話題になっています。
そもそも伊達巻とは、白身魚やエビのすり身に溶き卵と出汁などを加えて焼き上げ、巻き簾(まきす)で巻いて形を整えたもの。お節料理に欠かせない、なじみ深い一品です。とはいえ普段の食卓に並ぶことは珍しく、伊達巻の「お正月感」はどうしても否めません。
そんな伊達巻に“革命”を起こしたのが、兵庫・神戸の老舗厚焼き・玉子焼専門店、1952年創業で今年70周年を迎えた「山田製玉部」(神戸市中央区)です。ホテルや大手寿司店に出汁巻や厚焼き玉子を納品するなど、食品メーカーとしてさまざまな商品を送り出しています。
機械を導入している会社が全国でも多い中、同社では今なお、材料のすり合わせ、焼き上げや簾巻きなど、要所要所で職人技が光ります。
伊達巻“革命”のきっかけは、2021年に3代目社長に就任した山田勝宏さんのはたらきかけでした。折しも、新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受け、売り上げが半分以下に減少するなど、会社としても変革が求められた時期。若手社員を中心に、SNSの活用を推進し、Instagramではお弁当での活用法や厚焼き玉子サンドなどを公開していました。
ある日、社員がおやつ感覚で食べていた伊達巻の端切れにクリームをつけて食べてみたところ、「めっちゃ美味しい!」。とくに、丹波篠山市の「小田垣商店」とコラボした「黒豆入り伊達巻」にクリームをのせると、生地のなめらかさや黒豆のしっとりとした食感が際立ち、もはやスイーツの域に……。早速、レシピを公開し、催事でも食べ方の提案をしたところ「甘さ控えめおやつ」として大好評だったそう。
同社の社員は、さらに、伊達巻の新しいお供やおすすめの食べ方をこのように提案します。