腕時計の針はどのようにして動くのでしょうか? 小さな電池で動くものもあれば、そうでないものもあります。どのような違いがあり、どう選べばいいのでしょうか。登録者数が5万6千人を超える「腕時計YouTuber」であるRYさんが、『やさしい腕時計』(ラジオ関西Podcast)で解説しました。
■大きく分けて2種類の「エンジン」によって駆動
腕時計は、一般に「クォーツ式」と、「機械式」に大別されます。クォーツ式時計は電気エネルギーによって中の水晶(クォーツ)を振動させて針を動かしますが、機械式時計はゼンマイを巻き上げ、それがほどける力をエネルギーとして針を動かします。
クォーツ式の最大の特徴は精度が高く、時間が狂いにくいことにあります。一度、時刻を合わせたら月に10秒ほどしかズレません。水晶に電圧をかけると規則的に振動する仕組みを利用していて、世界初のクォーツ式腕時計は1969年に日本の「セイコー」が発表しました。ただ、当然ながら電池の残量が無くなれば止まりますし、故障した場合、修理ができない場合があります。秒針の動きは「ステップ運針」と呼ばれ、1秒ごとに秒針が動きます。
一方、機械式はクォーツ式に比べると、1日に10秒ほど狂うものが多いですが、ゼンマイさえ巻き続ければ半永久的に動き続けます。腕を振ることで、中のローター(振り子)が回り、ぜんまいが自動で巻きあげられるもの(自動巻き)があれば、リューズを自分で回して、手動でぜんまいをまきあげなければならないもの(手巻き)があります。機械式で、「世界初のメンズウォッチ」とされているのがカルティエの「サントス」、1904年に発表されました。
機械式は、クォーツ式に比べると高価ですが、故障した場合も部品があれば修理でき、定期的なメンテナンス作業を施せばほぼ永続的に使えるため、クォーツ式に比べて息が長いのが特徴です。また、中の機構が透けて見える、いわゆる「裏スケ」の腕時計では、芸術的な美しさを楽しめます。秒針は1秒おきではなく、流れるように動き続け「スイープ運針」と呼ばれています。