ちなみに、セイコーは、機械式の特徴である、ぜんまいがほどける力を動力源に、電気エネルギーによって中の水晶を振動させて正確に時を刻むクオーツの特徴を併せ持った「スプリングドライブ」という独自のムーブメントを販売しています。機械式よりもさらに滑らかなスイープ運針が特徴で、見ているだけで引き込まれそうな美しさがあります。
初めての腕時計を購入する際、クォーツ式時計と機械式時計のどちらが良いか、という判断は難しいものです。使う人のライフスタイルによって、どちらが適しているかが変わるからです。常に正確な時間を知りたいというシーンにはクォーツ式時計の方が、多少のずれは許容し、優雅に休日を過ごすというシーンには機械式時計が向いているかもしれませんね。
■おすすめは、「それぞれを1本ずつ」!?
RYさんは「それぞれの機能を補い合う」という観点から、「1本ずつ持つ」ことを勧めます。それぞれの腕時計の特長を理解し、自身のライフスタイルを見つめ直すことで、クォーツ式時計と機械式時計のどちらが自分に合うか、見極められるのではないでしょうか? 事実、現在は多くの機械式時計を所有するRYさんが、最初に買った1本クォーツ式時計だったそうですよ。
腕時計は、他の工業製品と比較すると概して長く使えます。その腕時計の中でも、機械式は特に長く使える、というのは前述のとおりで、その「永続性」は大きな魅力です。RYさんは、「例えば、世界三大ブランドのひとつ『パテック・フィリップ』は、同社の時計であればどんなに古いものでも修理する、と保証しています。それが世界一ともいわれるゆえんのひとつなのです」と話します。
パテック・フィリップは「親から子へ、世代から世代へ」というキャッチフレーズを用います。パテック・フィリップは決して安価ではありません。しかし、子や孫に引き継ぎ、後世に受け継いでいく「形見」としては一概に「高額だ」と言い切ることもできません。ぜひそれぞれの特長を理解し、人生を共に歩む「相棒」を見つけてください。
(ラジオ関西Podcast『やさしい腕時計』 #3『「機械式」と「クォーツ式」の違いは? それぞれの特長を理解する』より)