「さよなら、赤いカプセル」国道沿いの球体、その名は『交通安全祈念塔』七夕に子どもたちが最後のイベント 兵庫・尼崎 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「さよなら、赤いカプセル」国道沿いの球体、その名は『交通安全祈念塔』七夕に子どもたちが最後のイベント 兵庫・尼崎

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 2022年中にも庁舎が解体される尼崎南警察署・西分庁舎(2006年まで尼崎西警察署・兵庫県尼崎市浜田町)に併設された、宇宙船のようなカプセル型の赤い球体が見納めとなる。

尼崎南警察署「交通安全祈念塔」48年間、人と車を見守り続けた
現在は尼崎南警察署・西分庁舎 まもなく取り壊される

 東西に連なる国道2号線と、南北を貫く市道道意線(どいせん)が交差する地点で見守る赤い球体は「交通安全祈念塔」。真ん丸の形には交通事故「0(ゼロ)」への願いが込められているという。 直径2.7メートルの球体と高さ12メートルの3本柱の塔を総称している。
 尼崎南交通安全協会によると、これは警察施設ではなく、 交通安全協会の施設。警察官が監視したり、交通整理をする場所ではない。地元の協力者の熱い思いで、1974(昭和49)年に、尼崎西交通安全協会(当時)の設立20周年を記念して建てられた。

 かつての国道2号線には路面電車の阪神電鉄国道線(1975年廃止)が走り、祈念塔のはす向かいには浜田車庫(のちの阪神タイガース二軍本拠地・浜田球場 1979~1995年)があった。
 祈念塔の中にある“スタジオ”ではマイクを使い、交通安全運動の際にドライバーや歩行者への交通マナーアップを呼びかけて48年になる。

 祈念塔が登場する4年前、1970(昭和45)年に大阪・千里丘陵で万博が開かれ、宇宙開発への憧れの強まりも手伝って、 流線型や球型で宇宙船などの飛行物体をイメージしたデザイン『スペースエイジ・インテリア』が斬新的とされた時代。
 大阪万博で最も話題を集めた展示の一つが、三洋電機(現・パナソニック)が出展した人間洗濯機「ウルトラソニックバス」もそれに近いものかも知れない。この時代を知る人にとって「どこか懐かしい形」なのだ。

三洋電機(現パナソニック)が1970年大阪万博で出展した人間洗濯機「ウルトラソニックバス」(※画像提供・パナソニック)

 2006年、兵庫県警の警察署再編により、旧尼崎西警察署は、旧尼崎中央警察署と統合して「尼崎南警察署」となり、尼崎中央警察署の建物を本庁舎とした。その後、尼崎西署の庁舎は西分庁舎として、留置施設や「帳場(ちょうば)」と呼ばれる捜査拠点となっていた。しかし本庁舎の老朽化が進んだため、2019年から建て替え工事に入り、この建物を仮庁舎としたが、新しい尼崎南警察署の庁舎が完成、2022年7月中旬までには署員の引っ越し作業が完了する。
 その後、西分庁舎も取り壊され、敷地内にある「赤い祈念塔」も姿を消すことになる。ミニチュアとして残すという計画もあるというが、具体的なことは公表されていない。

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