『DV』相談件数が増加 コロナ禍による社会や家庭の環境の変化で「暴力夫と“元サヤ”」も…

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 コロナ禍で社会や家庭の環境が大きく変わる中、「DV(ドメスティックバイオレンス)」の相談件数が年々増加しています。警察庁によると、令和3年(2021年)の被害は前年から0.5%増の8万3042件に上っています。(※1)

 DVの現状はどうなっているのでしょうか。兵庫県尼崎市の教育委員やDV支援事業アドバイザーを務めるハートリーフ法律事務所の德山育弘弁護士に聞きました。

――コロナ禍で、実際にDVの相談は増えているのでしょうか

【德山弁護士】 コロナ禍にとくに増えたという感覚はなく、コンスタントに相談はあります。ただ、コロナ禍で驚いた事象として、夫の暴力から逃げるため避難先で離れて暮らすようになり、離婚調停も進んでいたにもかかわらず、元サヤに戻るというケースが2件ほどありました。

 コロナ禍で、一人で子供を育てながら生きていくことが難しく感じて戻ってしまったのです。DVは、ずっと暴力を振るうわけではなく、一転してやさしくなるなどサイクルを繰り返すのが特徴です。そのため、また暴力の被害に遭う可能性も高いのです。

 私としては、加害者と離れて前向きに歩きはじめていたにもかかわらず戻ってしまったことが、とてもショックでした。コロナ禍で社会の環境が大きく変わったことで不安を感じ、加害者から離れられなくなる人が増えることは懸念しています。

――暴力を受けていても逃げられない、ということは多いのでしょうか。

【德山弁護士】 被害者の中には、繰り返される暴力の中で無気力状態になってしまったり、「自分が悪いから」と自己肯定感を失ってしまったり…また、加害者から逃げた後、自立できるかという経済的な不安や心配が理由となって逃げることができなくなってしまうなど、様々な心理や状態が理由で逃げられないという方も多いです。

 実際に逃げたくても逃げられないというケースでは、加害者から24時間監視下に置かれて逃れられずにいた女性と子供たちを保護した案件がありました。一筋縄ではいかないため、様々な関係者と共に数か月をかけた綿密な打合せのうえ、一気に避難させ、結果的に離婚することができました。このケースでは、被害者が加害者から離れたいという意志が強くあったため救うことができましたが、被害者の結婚観や、加害者への期待や願望が、支援を困難にすることも多々あります。

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